公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

公認心理師と作業療法士の2足のわらじで働いています。私が体験した治療が上手く行った事例をプライバシーが守れる範囲で簡単に紹介していくことや、治療に関するトピックス、治療者が使いやすいツールや検査法、評価法など紹介していきたいと考えています。

認知症に対するリハビリテーションの必要性 ~認知症理解とリハビリテーションの効果~

1.認知症総論 アルツハイマー型認知症で見られる記憶障害は、脳内のコリン作動性神経細胞脱落に伴うアセチルコリンの減少によって生じると説明されている。 アルツハイマー型認知症はアセチルコリンの分解酵素が働いており、伝達がうまくいかない。 ドネペ…

公認心理師試験 過去問 2019 問3 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019 問3 20世紀前半の心理学の3大潮流とは、ゲシュタルト心理学、行動主義ともう1つは何か、正しいものを1つ選べ。 ① 性格心理学 ② 精神分析学 ③ 認知心理学 ④ 発達心理学 ⑤ 人間性心理学 解答と解説 正答は②です 性格心理学 × 性格研究の諸…

公認心理師試験 過去問 2019 問1 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019 問1 公認心理師の業務や資格について、正しいものを1つ選べ。 ① 診断は公認心理師の業務に含まれる。 ② 公認心理師資格は一定年数ごとに更新する必要がある。 ③ 公認心理師の資質向上の責務について、罰則が規定されている。 ④ 公認心…

MMSE(ミニメンタルステート検査)の検査用紙 認知症のスクリーニングテスト

MMSEの検査用紙です MMSEは、11つの検査から構成されています。 時間の見当識 場所の見当識 即時想起 注意と計算能力 遅延再生(短期記憶) 言語的能力 図形的能力(空間認知)といった7つの認知機能を評価するために重要な要素が含まれています。 【MMSEの…

アウトリーチ(訪問)について(精神)  ~ACT(assertive community treatment):包括型地域生活支援プログラム~

1. アウトリーチとは ・社会福祉事業において、医療・福祉関係者が直接出向いて心理的ケアとともに必要とされる支援に取り組むこと ・美術館・博物館が裾野を広げる契機として施設訪問など対外的な広報活動をすること、マイノリティの人々が自らの存在を周…

SSTを生かした作業療法の展開

SSTを生かした作業療法の展開 1.対象の分類 平均年齢が20歳代で罹患機関が短く、比較的短時間で病状安定の「ステップアップ群」 平均年齢が30歳代後半で罹患期間が10年を超えて病状が不安定「病状不安定群」 平均年齢が40歳代後半で病状は比較的安定してい…

発達障害についての考察 

近年では発達障害の存在に全く気付いておらず、精神的な不調を主訴に精神科に来院し、発達障害に気付くパターンが増えている。 ・近年では発達障害の存在に全く気付いておらず、主訴も発達障害とは全く異なる状態で受診し、診察したい医師が背景にある発達障…

作業療法士が対象者への就労支援に関して実際に行っていることの実際

作業療法士が対象者への就労支援に関して実際に行っていることの実際 ・職業遂行能力の評価 ・耐久性向上のための訓練 ・PC操作等、就労に必要な動作獲得訓練 ・疾病や体調の管理に関する指導 ・職場でのコミュニケーションの練習 ・公共交通機関利用等、通…

統合失調症の発症リスク 一覧

統合失調症の発症リスク 疫学研究 妊娠中の母親の感染 過度のストレス 栄養不足 貧血 血中鉛濃度 血中ホモシステイン濃度 産科的合併症(主に低酸素関連) 出生時ビタミンD濃度 出生時季(冬~春生まれは5~15%) 出生時体重 父親の高齢 胎生期の胎内環境 …

作業療法士が対象者への就労支援に関して実際に行っていること 一覧

「作業療法士を配置している就労移行支援事業所においては、作業療法士を配置していない事業所と比べて、一般就労への移行実績や職場定着の実績が高いことから、新たに福祉専門職員配置等加算における有資格者として評価する」 とのことで平成30年より、福祉…

統合失調所の発症リスク一覧

統合失調症の発症リスク 疫学研究 妊娠中の母親の感染 過度のストレス 栄養不足 貧血 血中鉛濃度 血中ホモシステイン濃度 産科的合併症(主に低酸素関連) 出生時ビタミンD濃度 出生時季(冬~春生まれは5~15%) 出生時体重 父親の高齢 胎生期の胎内環境 …

精神分析から考える神経症症状、身体表現性障害、うつ病

精神分析とは ・自我 新生児はエスのかたまりで自我は発達するもの 新生児が現実社会と相互交渉を始めると、周囲から抑制や干渉を受け、その過程を通してエスから分化して発達してくる。 →自我は、現実社会の要請に従い、エスの欲求や衝動の即時的満足を延期…

古典的条件付けの精神科作業療法(OT)場面での応用方法

古典的条件付けの精神科作業療法(OT)での応用 古典的条件付けとは 生まれながら持っている生理的反応を別の刺激で生じさせること。 例)パブロフの犬 もう少しわかりやすく 生理的反応と別な刺激を同時に与え、繰り返すことで、脳がどっちにの刺激にも反応…

アルコール依存症の症状と治療法(作業療法介入と視点)

アルコール依存症の症候 飲酒行動の変化 飲酒量、飲酒時刻、飲酒に対する抑制の減弱 飲酒行動の多様性の減弱 負の強化に対する飲酒の反応性の変化 例)職場でコッソリ酒を飲む。 2.主観的状態の変化 ・ 飲酒抑制の障害ないし抑制 渇望 飲酒中心性※渇望とは…

対人交流の必要性と価値を作ることの効果や重要性

幼児に思いやりや優しさを学ばされるには、集団内で苦しさや厳しさを感じている人が必要となり、苦しさや厳しさを感じている人を見て共感することで、優しさや親切心が芽生える。 つまり、満たされている環境で育つ、または、満たされた環境で過ごすと、人間…

〇情報収集 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、社会福祉士、ケアマネージャーからリハビリテーションの治療目標を決める前に情報収集するべき項目一覧

〇他部門からの聴取可能な情報 (Dr) 血圧の状況 既往歴 今後の目標(予後予測) 現疾患の状況 現疾患への加療予定 服薬状況 禁忌事項 注意点(リスク管理) 禁忌肢位(整形) 荷重の許容範囲(整形) ゴール リハの中止基準 CT所見 X-P所見 骨萎縮の程度 術…

統合失調症の治療事例を紹介します。 30代男性の事例 

統合失調症の治療事例を紹介します。 倫理的配慮のため、個人情報がわからないように内容は少し変更しています。 これを見て実際に統合失調症に悩んでいる方の参考になれば幸いです。 〇ケースの基本的情報 30歳代前半・男性 診断名:統合失調症 大学2年時に…

統合失調症の行動特性

統合失調症の行動特性を紹介します。 昼田源四郎さんの著を主に参考にして臨床で感じたことを書き足していきます。 1.一時にたくさんの課題に直面すると、混乱してしまう 「統合失調症者は、まずどれをしなければならないのか、どれは後からでいいのかといっ…

認知症のリハビリについて 

アルツハイマー型認知症で見られる記憶障害は、一般的に脳内のコリン作動性神経細胞脱落に伴うアセチルコリンの減少によって生じると説明されています。 アルツハイマー型認知症はアセチルコリンの分解酵素が働いており、伝達がうまくいかない状態です。 ド…

作業療法を行うにあたって 実際に精神科でインテーク前に使うツールを紹介します

作業療法を行うにあたって 病気によって出来なくなったことを書き出してみよう 例)・人としゃべるのが苦手になった。 ・朝起きるのが苦手になった。活動するのがおっくうになってなかなかできなくなった。 ・細かい動作が苦手になった。頭が働かない・物覚…

より治療効果の高い作業活動にむけて

仮説1 国、それぞれの地域などで一般的に注目度、興味・関心の高い作業活動を実施する方が、より高い治療効果が得られるのではないか? 作業活動の例 野球、サッカー、バスケ、卓球、ビリヤード、お菓子作り、調理 理由 人気の高いもの、注目度の高い活動ほ…

認知行動療法の必要性

認知行動療法とは 問題となっている特定の行動を標的とし、その行動の変化を確実に起こすことを目標とする。認知行動療法では、単に行動だけを対象とするのではなく、認知を変えることを重視する治療法です。 認知行動療法の必要性。 問題となっている行動を…

精神分析について

精神分析について ・自我 新生児はエスのかたまりで自我は発達するもの 新生児が現実社会と相互交渉を始めると、周囲から抑制や干渉を受け、その過程を通してエスから分化して発達してくる。 →自我は、現実社会の要請に従い、エスの欲求や衝動の即時的満足を…

作業療法処方から評価までの実践 精神科で働く上で必要な評価項目・視点について  

精神科で臨床を行う上で患者さんの情報で把握しておかなければいけない情報は沢山あります。 少しでも見落とすことで、気づけていない問題や再入院や再発に繋がることもあるので、臨床家は手を抜いてはいけないところだと思っています。 簡単に評価すべき点…

作業療法面接法 1.インテーク面接 2.日常のコミュニケーションから聞いておきたい内容 3.作業面接 4.対象者理解(評価)の留意点                  疾患別面接法 1.統合失調症の初期面接 2.うつ病の初期面接  3.強迫性障害の初期面接  4.適応障害の初期面接 5.パーソナリティ障害の初期面接 6.認知症の初期面接

精神科で働く上で最も重要な技術の一つには面接があげられます。 面接で重要になることをインテーク面接から疾患別の面接までまとめていきたいと思います。 作業療法面接法 1.インテーク面接 面接内容 (1)主治医や看護婦から作業療法の必要性についてど…

古典的条件付けの作業活動 OT(作業療法)での応用

古典的条件付けとは 生まれながら持っている生理的反応を別の刺激で生じさせること。 例)パブロフの犬 もう少しわかりやすく 生理的反応と別な刺激を同時に与え、繰り返すことで、脳がどっちにの刺激にも反応してしまう状態になる。 ・恐怖の条件付け ワト…

レクリエーションと精神疾患(精神障害、精神科)

精神科の作業療法士らしく、レクリエーションと精神障害に関してまとめてみました。 まず レクリエーションとは ①余暇に営まれる活動である。 ②楽しみとして行われる自発的活動である。 ③生活を営むうえで必須の活動を含まない。 ④その活動それ自体のために…

幼少期の子供のケンカに親が介入すると精神疾患が増えるかもしれない。

幼少期の体験が大人になったときにどれだけ影響を与えているか少しお話します。 幼少期には他人への共感力を身につける重要な時期だと考えています。なので、幼少期に色々な人と関わり、学び、違う価値観を持った人とケンカして理解してと重要な体験を通して…

はじめまして。精神科に10年務めている人のブログです。

するめです。 精神科病院に勤めて10年が経ちました。 公認心理師と精神科作業療法士の二足のわらじで日々万進する生活を送っています。 精神疾患に対する治療は日本はまだまだ進んでおらず、治療が上手く進まず悩んでいる人や、上手く治療できず悩んでいる治…