公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

公認心理師と作業療法士の2足のわらじで働いています。私が体験した治療が上手く行った事例をプライバシーが守れる範囲で簡単に紹介していくことや、治療に関するトピックス、治療者が使いやすいツールや検査法、評価法など紹介していきたいと考えています。

公認心理師試験 過去問 2019 問57 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問57

 

問57 うつ病にみられることが多い症状として、適切なものを2つ選べ。

①心気妄想

②迫害妄想

③貧困妄想

④妄想気分

⑤世界没落体験

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は①と③です

 

 

①心気妄想 〇

 

日本うつ病学会治療ガイドラインによると、

 

うつ病でも幻覚・妄想といった精神病症状(精神病 性の特徴)を伴うことが少なからずある。その場合、精神病症状を伴わない症例と比べ、鑑別疾患や治療薬の選択に違いが生じるので、精神病症状の有無を確認することは重要である。精神病性うつ病の特徴には大別して、次のように「気分に一致する」ものと「気分に一致しない」ものとがある。

1)「気分に一致する精神病性の特徴」

妄想や幻覚で、その内容が個人的不全感、罪責感、病気、死、虚無感、報いとして処罰を受けることなど、〈典型的な抑うつ性の主題〉と一致したもの。

主要なものとしては、微小妄想(罪業妄想心気妄想、貧困妄想など)がある。以下に例を示す。

・罪を犯していないのに「大変な罪を犯してしまい、 罰を受けるに違いない」(罪業妄想

・実際には重大な身体疾患はないのに「極めて重大な病気(がんなど)になってしまった」(心気妄想)

・実際的には経済的に問題がないのに「お金がないので治療を受けることができない」(貧困妄想)

 

と記されています。

 

実際に起きていること以上に物事をネガティブに捉えてしまう傾向があるうつ病の特徴的な症状として、心気妄想があることがわかります。

 

 

 

 

 

うつ病にみられることが多い症状として、「心気妄想」という選択肢は正しいといえるので正答となります。

 

 

 

 

 

②迫害妄想 ×

 

コトバンクより、迫害妄想とは、害を加えられる,苦しめられる,責められるというような被害を主題にした妄想。周囲のなんでもないできごとを脅かしや迫害のしるしととり,他人の言葉や態度に悪意やあてつけを感じる。と述べられている。

 

 脳科学辞典によると、妄想は、「街ですれ違う人に紛れている敵が自分を襲おうとしている」迫害妄想、「近所の人の咳払いは自分への警告だ」(関係妄想)、「道路を歩くと皆がチラチラと自分を見る」(注察妄想)、「警察が自分を尾行している」(追跡妄想)などの内容が代表的で、被害妄想と総称する。ときに「自分には世界を動かす力がある」といった誇大妄想のこともある。と述べており、統合失調症の症状として、迫害妄想があると記している。

 

ウィキペディアでは、妄想 (Delusions) とは、客観的に見て物理的にありえないことを事実だと完全に信じていること[29][30]。以下のように分類される。

被害妄想:「近所の住民に嫌がらせをされる」「通行人がすれ違いざまに自分に悪口を言う」「自分の体臭を他人が悪臭だと感じている」などと思い込む[30]

関係妄想

注察妄想:常に誰かに見張られていると思い込む[30]。「近隣住民が常に自分を見張っている」「盗聴器で盗聴されている」「思考盗聴されている」「カメラで監視されている」などと思い込む[31]

追跡妄想:誰かに追われていると思い込む[30]

心気妄想

誇大妄想

宗教妄想

嫉妬妄想

恋愛妄想

被毒妄想:飲食物に毒が入っていると思い込む[30]

血統妄想

家族否認妄想

物理的被影響妄想

妄想気分

世界没落体験

これら妄想症状は突発的に起こることもあれば、数週間をかけて形成されていくこともある[30]クレペリン躁うつ病の特徴として迫害妄想をあげており、双極性でないことが診断に重要である。

 

と記されており、クレペリン統合失調症より、躁うつ病の特徴として迫害妄想を挙げ、迫害妄想がある場合は、躁うつ病ではないことを確認してから統合失調症と診断することが重要と述べている。

 

日本老年医学会によると、ADでは,嫉妬妄想や迫害妄想などの被害的妄 想もよくみられる.病期が進行し,認知機能が低下すると,鏡に映った自分を他人と認識して話しかける鏡徴候,テレビで放映した内容と現実の区別がつかず,眼の前で展開された事実であると主張する誤認などが出現する。と記されており、認知症も迫害妄想を引き起こすことが分かっている。

 

迫害妄想に繋がる疾患は様々あり、件数は少ないですが状況や条件が重なればうつ病でも迫害妄想の状態になることも考えられます。

 

ただ、設問はうつ病にみられることが多い症状を問いており、多い症状とは言えないです。

 

 

うつ病にみられることが多い症状として、「迫害妄想」という選択肢は正しいといえないので誤答となります。

 

 

 

 

 

③貧困妄想 〇

 

日本うつ病学会治療ガイドラインによると、

 

うつ病でも幻覚・妄想といった精神病症状(精神病 性の特徴)を伴うことが少なからずある。その場合、精神病症状を伴わない症例と比べ、鑑別疾患や治療薬の選択に違いが生じるので、精神病症状の有無を確認することは重要である。精神病性うつ病の特徴には大別して、次のように「気分に一致する」ものと「気分に一致しない」ものとがある。

1)「気分に一致する精神病性の特徴」

妄想や幻覚で、その内容が個人的不全感、罪責感、病気、死、虚無感、報いとして処罰を受けることなど、〈典型的な抑うつ性の主題〉と一致したもの。

主要なものとしては、微小妄想(罪業妄想心気妄想、貧困妄想など)がある。以下に例を示す。

・罪を犯していないのに「大変な罪を犯してしまい、 罰を受けるに違いない」(罪業妄想

・実際には重大な身体疾患はないのに「極めて重大な病気(がんなど)になってしまった」(心気妄想)

・実際的には経済的に問題がないのに「お金がないので治療を受けることができない」(貧困妄想)

 

と記されています。

 

実際に起きていること以上に物事をネガティブに捉えてしまう傾向があるうつ病の特徴的な症状として貧困妄想があることがわかります。客観的思考や、持続的な不安感などが合わさると症状として出現しやすいと思います。

 

 

 

 

 

うつ病にみられることが多い症状として、「貧困妄想」という選択肢は正しいといえるので正答となります。

 

 

 

 

 

④妄想気分 ×

 

脳科学辞典によると

 

何かが起きているというただならぬ気配を感じ、それに巻き込まれていると感じるが明確にわからない。外的事象に対する漠然とした意味付け(自己関係付け傾向)が生じてはいるが、特定の意味付けはまだ生じていない。これは統合失調症の急性期の最初の症状であることが多い。自己関係付けに特定の意味が伴うと、妄想知覚が形成される。妄想着想もまた妄想気分に続いて生じることがある。

 統合失調症の前駆期にみられる緊迫した気分は、それを外界の事象に関係付ける傾向が生じていない点が妄想気分と異なる。

 

と記されている。

 

 

うつ病の症状として妄想気分があるという文献等はありません。ほぼ統合失調症の一次妄想に使用される概念となっています。

 

うつ病にみられることが多い症状として、「妄想気分」という選択肢は正しいといえないので誤答となります。

 

 

 

 

⑤世界没落体験 ×

 

生活没落体験とは、周囲が不気味に思えて強い不安があり、その先に世界が破滅するような出来事がある、それが自分と深く関係しているという妄想体験を指します。統合失調症の1次妄想の特徴で、統合失調症特有の症状といえます。

 

 

うつ病にみられることが多い症状として、「世界没落体験」という選択肢は正しいといえないので誤答となります。

公認心理師試験 過去問 2019 問56 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問56

 

問56 女性の更年期障害について、正しいものを2選べ。

エストロゲンの分泌が増加する。

② ゴナドトロピンの分泌が増加する。

③ 顔面紅潮や発汗は不眠の原因となる。

④ ホルモン療法は抑うつに効果がない。

⑤ 欧米人に比べて日本人では肩こりや腰痛の頻度が低い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②と③です

 

 

エストロゲンの分泌が増加する。 ×

 

エストロゲンは女性ホルモンで呼ばれるホルモンです。ウィキペディアによると、乳児期早期(1-3ヶ月)の女性思春期並に分泌量が多く、小卵胞が出没するが、2歳から思春期を迎えるまでは分泌量が減少する。2歳から思春期を迎えるまでの分泌量は女性で0.6pg/ml、男性で0.08pg/mlと女性の方が高くこれが女性の思春期初来が男性より早い原因の一つとなっている[3]。思春期に卵巣が発達し始めると共に分泌がプロゲステロンも増加し始め、第二次性徴を促進させる。更年期以降は分泌が減少する。

 

と記されています。

 

上記の通り更年期にはエストロゲンの分泌が減少します。

 

 

 

 

 

女性の更年期障害について、「エストロゲンの分泌が増加する。」という選択肢は誤りだといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②ゴナドトロピンの分泌が増加する。 〇

 

小見 克夫(水沢市・産婦人科医師) 胆江日日新聞社によると、人の一生は、年齢を重ねるにつれて身体的・精神的に成長と成熟・退行(老化)の道をたどります、すなわち小児期・成熟期・老年期で、小児期と成熟期の間が思春期であり、成熟期から老年期の移行期を女性の場合特に更年期といいます。

 更年期を定義するとこうなりますが、更年期障害は「更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群」と定義されています。

 発生機序は加齢による卵巣機能の低下、特にもエストロゲン(女性ホルモン)の分泌衰退、中枢からのゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)分泌が著しく増加するなど視床下部・下垂体・卵巣系のフィードバック機能などのホメオスターシス(平衡)の維持が卵巣機能の低下とともに崩壊します。

 

と記されています。

 

 

女性の更年期障害について、「エストロゲンの分泌が増加する。」という選択肢は正しいといえるので正答となります。

 

 

 

 

 

③顔面紅潮や発汗は不眠の原因となる。 〇

 

更年期ラボによると、更年期に不眠が増加する一因として、ほてりや発汗といった血管運動神経症状が夜間に起こることで睡眠が妨げられることが考えられています。

 

と記されています。

 

 

不眠の要因は、多岐にわたり、症状自体が要因なのか、症状による不安や焦りが要因なのかはっきりしない面もわりますが、要因の一つとしては考えられるでしょう。

 

 

 

 

 

女性の更年期障害について、「顔面紅潮や発汗は不眠の原因となる。」という選択肢は正しいと考えられるので正答となります。

 

 

 

 

 

④ホルモン療法は抑うつに効果がない。 ×

 

ホルモン補充療法ガイドライン 2017 年度版によると

 

HRT による自覚的・他覚的不眠の改善度には乖離 があると考えられる.さらに,更年期女性の不眠症状は血管運動神経症状のほか,うつや不安との関連も強く 5),HRT がうつや不安を緩和することによって睡眠状態の知覚が改善され,自覚的不眠が解消する可能性がある.実際,治療開始時における Beck depression inventory score で評価したうつ症状の強さが,エストロゲンによる睡眠の改善度を予測する,つまり HRT による睡眠改善効果がうつ症状の強い群で大きかったという報告がある 6).

 

※HRTはホルモン補充療法

 

 

と記されている。

 

抑うつ状態との関連が不快睡眠との関連の強さが間接的に抑うつへの効果を示唆しています。

 

 

 

 

 

女性の更年期障害について、「ホルモン療法は抑うつに効果がない。」という選択肢は正しいとはいえないので誤答となります。

 

 

 

 

⑤欧米人に比べて日本人では肩こりや腰痛の頻度が低い ×

 

富山県済生会富山病院 第23回 更年期障害によると、

■日本人の特徴は?

それでは、更年期症状について、皆さんはどのように対応されているのでしょうか。更年期症状と治療について、40歳から60歳までの女性約4千人に行ったインターネットの調査結果によると、実際に感じている症状は「肩こり・腰痛・手足の痛み」が最も多く、「倦怠感」「急に顔がほてる」「汗をかきやすい」「イライラする」「くよくよする」「手足が冷える」-の順でした。

更年期症状といえば「急に顔がほてる」「怒りやすい」「汗をかきやすい」などをイメージされる人が多いと思いますが、欧米とは異なり、日本人女性では肩こりが最も多いという特徴がありました

 

 

と記されています。

 

 

日本人はそもそも欧米人より肩こりや腰痛が起こりやすいので、更年期の特有の特徴かどうかは定かではありませんが傾向はあるようです。更年期で日本人の方が欧米人に比べて腰痛、肩こりの頻度が低いという文献は見つけられませんでした。また、欧米人に比べて日本人では肩こりや腰痛の頻度が低いという、話題やコラムもありませんでした。

 

 

 

 

 

女性の更年期障害について、「ホルモン療法は抑うつに効果がない。」という選択肢は正しいとはいえないと考えられるので誤答となります。

 

公認心理師試験 過去問 2019 問55 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~ 

公認心理師試験 過去問 2019 問55 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~ 

 

 

公認心理師試験 2019

問55

 

虞犯について、正しいものを2つ選べ。

虞犯少年とは 14 歳以上の者をいう。

虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。

③ 虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。

虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。

虞犯少年児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②と④です

 

 

虞犯少年とは 14 歳以上の者をいう。 ×

 

昭和37年版 犯罪白書 第一編/第四章/六によると、 少年のなかには,犯罪を犯すという程度までにはいたらないが,保護者の正当な監督に服さなかったり,正当な理由がなく家庭に寄りつかなかったり,犯罪性のある者や不道徳な人と交際したり,いかがわしい場所に出入りして,将来犯罪を犯す危険性のあるものがある。これ虞犯少年とよんでいる。

一四歳未満の虞犯少年を発見したときは,児童相談所または福祉事務所に通告し,一四歳以上一八歳未満の虞犯少年児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認められる者も,同様に児童相談所または福祉事務所に通告されるが,一八歳以上の虞犯少年は,家庭裁判所に送致され,また,一四歳以上一八歳未満の虞犯少年児童福祉法による措置が適当でないと認められた者も,家庭裁判所に送致され,保護事件として審判を受けることになっている。

 

と記述されています。

 

14歳以下の該当者も虞犯少年と呼んでいることが分かります。

 

 

虞犯少年とは 14 歳以上の者をいう。」という選択肢は正しいとはいえないので誤答となります。

 

 

 

 

 

虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。 〇

 

平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第1節/1によると、触法少年及び14歳未満の虞犯少年については,児童福祉法上の措置が優先される。保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を発見した者は,これを市町村,都道府県の福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならず,家庭裁判所は,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り,これらの少年を審判に付することができる。
 14歳以上の虞犯少年については,原則として,これを発見した者が家庭裁判所に通告しなければならない。警察官又は保護者は,この虞犯少年が18歳未満であり,かつ,直接これを家庭裁判所に送致し,又は通告するよりも,まず児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは,その少年を直接児童相談所に通告することができる。

 

なお,家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,相当の期間,家庭裁判所調査官に少年を直接観察させる試験観察に付することができ,また,必要があると認めるときは,保護者に対し,少年の監護に関する責任を自覚させ,その非行を防止するため,調査又は審判において,自ら訓戒,指導その他の必要な措置をとり,又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる。
 審判の結果,保護処分に付することができず,又は保護処分に付する必要がないと認めるときは,不処分の決定をしなければならない。児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは,事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致しなければならない。死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,刑事処分を相当と認めるときは,事件を検察官に送致するが,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって,その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては,犯行の動機及び態様,犯行後の情況,少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置を相当と認めるときを除き,事件を検察官に送致しなければならない。これらの場合以外は,保護処分をしなければならず,保護観察,児童自立支援施設児童養護施設送致(18歳未満)又は少年院送致(14歳以上)のいずれかの決定を行う。

 

と記されています。

 

また、藤井寺法律事務所のHPに分かりやすい図があります。

 

虞犯事件の流れ

f:id:a-late-riser004:20210930130810p:plain



 

子どもが家庭裁判所に送致された後の手続きの流れ

f:id:a-late-riser004:20210930130834p:plain



図を見るかぎり14歳以上の虞犯事件は、家庭裁判所へ送致され、家庭裁判所の審判により、保護処分となった場合少年院送致となる場合があることがわかります。

 

虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。」という選択肢は正しいといえるので正答となります。

 

 

 

 

 

③虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。 ×

 

昭和37年版 犯罪白書 第一編/第四章/六によると、 少年のなかには,犯罪を犯すという程度までにはいたらないが,保護者の正当な監督に服さなかったり,正当な理由がなく家庭に寄りつかなかったり,犯罪性のある者や不道徳な人と交際したり,いかがわしい場所に出入りして,将来犯罪を犯す危険性のあるものがある。これ虞犯少年とよんでいる。

 

と記されています。

 

 虞犯という意味自体は、犯罪を犯す危険性があることなので、一見適応していそうですが、少年法以外で使用されている場面は調べる限り見受けられなかったので、成人には適応されないと考えます。

 

 

「虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。」という選択肢は誤りだと考えられエルので誤答となります。

 

 

 

 

 

虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。 ○

 

昭和37年版 犯罪白書 第一編/第四章/六によると、 少年のなかには,犯罪を犯すという程度までにはいたらないが,保護者の正当な監督に服さなかったり,正当な理由がなく家庭に寄りつかなかったり,犯罪性のある者や不道徳な人と交際したり,いかがわしい場所に出入りして,将来犯罪を犯す危険性のあるものがある。これ虞犯少年とよんでいる。

 

と記されています。

 

虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。」という選択肢は正しいといえるので正答となります。

 

 

 

 

 

虞犯少年児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。 ×

 

平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第1節/1によると、触法少年及び14歳未満の虞犯少年については,児童福祉法上の措置が優先される。保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を発見した者は,これを市町村,都道府県の福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならず,家庭裁判所は,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り,これらの少年を審判に付することができる。
 14歳以上の虞犯少年については,原則として,これを発見した者が家庭裁判所に通告しなければならない。警察官又は保護者は,この虞犯少年が18歳未満であり,かつ,直接これを家庭裁判所に送致し,又は通告するよりも,まず児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは,その少年を直接児童相談所に通告することができる。

 

と記されています。

 

また、藤井寺法律事務所のHPに分かりやすい図があります。

 

虞犯事件の流れ

f:id:a-late-riser004:20210930130810p:plain



 

と記されています。

 

 

虞犯少年児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。」という選択肢は正しいとは言えないので誤答となります。

 

ブロン依存症について ~危険性・症状・治療方法のまとめ~

ブロン依存症について ~危険性・症状・治療方法のまとめ~

 

○市販薬依存の概要

エスエスブロン錠(ブロン)、パブロンゴールド(金パブ)、ウット、ナロン/ナロンエースレスタミン(レタス)など市販薬を主乱用薬剤とする10代が急増している。

 

全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査 2018の年齢別主乱用薬剤の構成比によると、市販薬を主乱用薬剤とするものの割合が、2016年では0.0%、2018年では25パーセント、2018年では41.2%と、とんでもないスピードで急増している。ツイッターTwitter)のツイッター検索で、「ブロン」、や「金パブ」と打ち込むと乱用したとの旨を伝えるつぶやきが多数見られている。

 

 

 

私自身も臨床場面で多数の10代(主に中学生や高校生)の市販薬依存症の患者と接する機会が増えている。ブロン依存症の例だと、苦痛から逃れるために使用し、一時的にスッキリするも、長く使用することにより、使用しないと気持ちが落ち着かない、イライラや不安、使用しないとだるくて動けないなどの症状が出現しやすい。

 

最終的に無気力状態で、何をするにも意欲がわかない状態になり、朝ブロンの飲まないと起き上がれないほどの状態になり、「死にたい」という気持ちが強くなる希死念慮に繋がる人もいる。また、離脱症状もあり、虚脱感、焦燥感に襲われ、断薬時の不安も大きい様子である。

 

 

中学生、高校生の市販薬の依存症になる人に共通して見えてくることは、家や学校に居場所がないということである。幼少期に親から暴力・暴言、性的虐待、食事をもらえない、留守にしていることが多い、構ってくれないなど育児放棄(ネグレクト)を経験している人も少なくない。

 

 

また、学校でいじめや友達がいないなどの状況にある人も多く、薬物を辞めるだけで解決するような問題ではなく、生活全体を見てどのような介入が本人の救いになるのかを考えていかなければいけないと感じている。

 

 

 

 

 

 

○鎮咳薬「ブロン」について(危険性)

 市販鎮咳薬であるエスエスブロン錠(以下ブロン)には、

の主に4つの成分が含まれている。②のリン酸ジヒドロコデインと⓷のマレイン酸クロムフェニラミンを併用することで、ドーパミンの遊離が促進され、遊離されたドーパミンが再取込みされないために、ドーパミン神経系が強度に亢進され、その結果精神依存が増強される相乗効果もある。

 

 

 

 

 

 

○ブロン依存症について

 前述した通り、過剰服薬すると依存の危険性がある薬物だが、1錠あたりの効果は微弱で、咳止めとして、用法、用量を正しく飲む限り依存に陥ることはないだろう。

 最初は10~20錠ほどで効果を感じ、「フワフワした感じ」、「元気が出る感じ」「多幸感」が得られる。耐性が付き、すぐに効果を感じられるのに必要な内服量が増え、おおよそ1か月程度で1瓶(84錠)に達するものの少なくない。多い人だと、一日2瓶ほど飲んでいる人もいる。1瓶税込み1650円と、毎日1瓶飲むと1か月49500円と、かなり高額となる。10代の特に女性にブロン依存症者は多く、ブロン依存症者の10代の女性は、パパ活援助交際を行っている人も少なくなく、社会的な問題を含んでいる。

 

 

 

 

 

○ブロンの急性期症状

 ブロン錠を初めて服用時に1瓶(84錠)飲んだ場合、

  • 飲んで30分程度で身体が軽くなる感覚が出現し、ふわふわしてくる
  • 目の中にいつも以上に光が入ってきて、景色の光彩があがる
  • その後、目頭が重くなり
  • 頭を動かすと目がグラグラする
  • 脂汗が止まらなくなり
  • 唾液の味が濃く感じるようになる
  • 判断力が乏しくなり、唾液を飲み込むという判断ができなくなる
  • ふらつきが強く立ち上がると足元がおぼつかない
  • 気持ち悪くて動くことができない
  • 下肢のしびれや感覚の鈍さを感じる
  • 外的刺激に対する受容が乏しく1時間程度の記憶が曖昧になる。
  • 1時間程度経過すると、気持ち悪さが落ち着いてくると
  • 心地よい倦怠感と睡魔に襲われる
  • しばらく多幸感が続く
  • 食事時に気持ち悪さ、食欲不良あり

 概ね上記のような症状が経過観察される。

 

 

 

 

 

 

○ブロンの慢性期症状

 ブロンを長期に多量服薬を継続すると

  • 離脱時の虚無感
  • 意欲低下
  • 焦燥感
  • 希死念慮(自殺願望)
  • 抑うつ状態
  • イライラ感
  • 不安感
  • 集中力の低下
  • 記憶力の低下
  • 人間関係への興味の希薄化
  • 感情の平板化(何をしても楽しく感じない)
  • 食欲低下
  • 社会的能力の低下(仕事や学校活動の意欲低下)
  • セルフケアの関心の低下
  • 無気力状態

などの症状が経過観察される。

 

 離脱症状は服用期間や、内服量が多いと強く観察される。ベッドから起きる上がることがしんどくなるほどけだるさ、意欲のなさと、何もしていないことにしんどさを感じる焦燥感もあり、離脱症状の辛さはかなり強いと推測される。

 

 

 

 

 

 

○ブロン依存症になりやすい背景と社会的問題

 臨床場面での感覚ではあるが、ブロン依存症に限らず、市販薬の依存症になっているのは10代が圧倒的多い。ブロン等の市販薬の影響か、元々素因がある人が市販薬への依存に陥りやすいか定かではないが、リストカット(OD)をしている人、死にたい(希死念慮)という気持ちが強い人がほとんどである。

 また、学校でいじめをうけている人、親から虐待を受けている人、親から性的虐待を受けたことがある人、親に関心を向けられず愛情が足りない人(愛着障害)、ジェンダー(性の問題)に悩んでいる人も多く、依存症の問題ではなく、家庭や社会に問題を抱えていることが要因となり、結果として市販薬依存に至っている。なので、市販薬の販売を禁止すればよいなど安直な解決方法で解決する問題ではなく、育児や学校、社会のありかたに問題があるのではないかと思う。

 

 

 

 

 

○治療方法について

 ブロン依存症など市販薬依存症の治療方法に関して、前述した通り、依存物質を止めさせるだけでは解決に至らず、その人のもつ、学校、家庭、社会で起こっている問題や悩み、辛さを知り理解していくことがまず重要となる。

 

 

 1980年にサイモン・フレーザー大学のブルース・アレクサンダー博士らが行った、「ネズミの楽園」と呼ばれる有名な実験がある。この実験では、一匹ずつ金網でできた織の中過ごす群(「植民地ネズミ」)と、広々とした場所にオスとメスを数10匹一緒に入り、遊び道具や十分なエサ、居心地のウッドチップの床がひかれた中で過ごす群(「楽園ネズミ」)に分ける。この両方のネズミに対し、普通の水とモルヒネ入りの水を用意して与え、57日間観察したところ、結果は「植民地ネズミ」の多くがモルヒネ中毒になり、「楽園ネズミ」の多くはモルヒネ水を飲まずに、他のネズミと遊んだり交尾をしたりして過ごしていた。

 

 

 

 

 この実験結果から学ぶに、「深い孤立」が依存症に至る要因として強い影響があるのではないかと考えられる。ネズミと人間では背景が違い、もっと深い要因があると思われるが、私が臨床で経験した印象としては、人と一緒にいても、気がやすめなかったり、本音で話せなかったり、人といても不安だったり、誰かといてもどこか孤立感がある人、「深い孤立」の状態にある人が多い。この状態から脱却すること自体が難しい問題ではあるが、家庭、学校、職場など社会などの場面で何かしら「つながり」を感じられるようになる、拒絶ではなく理解してもらえるという感覚を得ることが治療において重要な要素になると考えている。

公認心理師試験 過去問 2019 問54 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問54

 

二次的外傷性ストレス[Secondary Traumatic Stress]による反応について、正しいものを2つ選べ。

① 幼児期のトラウマ体験を原因とする。

② フラッシュバックを呈することがある。

③ 被害者の支援活動をしている人に生じる。

④ 回復には年単位の時間を要することが多い。

⑤ 不安発作の反復を恐れ、社会的活動が制限される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②と③です

 

 

①幼児期のトラウマ体験を原因とする。 ×

 

二次的外傷性ストレス(二次受傷(にじじゅしょう、英語: compassion fatigue)とは代理受傷、共感性疲労、外傷性逆転移などと呼ばれている現象の総称であり、犯罪災害事故戦争などの悲惨な体験を負った人の話を聞いたり、現場を目撃することで自らは体験していなくても、被害者と同様の、PTSD症状をしめすことである。(二次受傷 - Wikipedia

 

ストレスフルな出来事の開示により被開示者に生じる影響に対しては、二次的外傷性ストレス(Figley, 1983)、代理トラウマ(McCann, & Pearlman, 1990)、共感疲労(Joinson, 1992)など様々な名称が使用されており、日本においてもその呼び名、訳は統一されていない(西・野島, 2002)。

 

二次的外傷性ストレス(二次受傷(にじじゅしょう、英語: compassion fatigue)二次受傷の症状としては、PTSD症状(再体験、回避、覚醒亢進)や燃え尽き、世界観の変容等がある。具体的には、被害者の語りが繰り返し頭の中で再生される、クライエントが描写した体験がフラッシュバック悪夢として体験される、家族の安全を極度に心配するなどの症状がみられる。(二次受傷 - Wikipedia

 

幼児期のトラウマ体験を原因とするのは心的外傷後ストレス障害PTSD)が当てはまると考えられます。

 

 

 

 

 

二次的外傷性ストレス[Secondary Traumatic Stress]による反応について、「幼児期のトラウマ体験を原因とする。」という選択肢は正しいといえないと考えられるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②フラッシュバックを呈することがある。 〇

 

①に記述した通り、二次的外傷性ストレス(二次受傷(にじじゅしょう、英語: compassion fatigue)二次受傷の症状としては、PTSD症状(再体験、回避、覚醒亢進)や燃え尽き、世界観の変容等がある。具体的には、被害者の語りが繰り返し頭の中で再生される、クライエントが描写した体験がフラッシュバック悪夢として体験される、家族の安全を極度に心配するなどの症状がみられる。(二次受傷 - Wikipedia

 

と記されています。

 

 

二次的外傷性ストレス[Secondary Traumatic Stress]による反応について、「フラッシュバックを呈することがある。」という選択肢は正しいと考えられるので正答となります。

 

 

 

 

 

③被害者の支援活動をしている人に生じる。 〇

 

二次受傷 - Wikipediaに二次的外傷性ストレス(二次受傷)を負う可能性のある職業をまとめられており、

 

二次受傷を負う可能性のある職業

犯罪被害者をクライエントに持つ臨床家、戦争体験の取材をしているジャーナリスト、被害者の調査をしている研究者など、職業上、悲惨な体験を負った人の話を聞く必要のある職業が挙げられる。また、それらの職業だけでなく、消防士医療従事者救急隊員警察官、救援にあたるボランティア等、職業上、悲惨な場面に曝される災害救援者が二次受傷を負う可能性が高いとされている。

 

と記されています。

 

戦争や災害の被害者など精神的なストレスを負った人を援助する目的で関わっている人が二次的外傷性ストレス(二次受傷)を負う可能性が高いとされています。

 

 

二次的外傷性ストレス[Secondary Traumatic Stress]による反応について、「被害者の支援活動をしている人に生じる。」という選択肢は正しいと考えられるので正答となります。

 

 

 

 

 

④回復には年単位の時間を要することが多い。 ×

 

支援をする人の傷つきとその対応|犯罪被害者のメンタルヘルス情報ページ (umin.jp)によると

 

二次的外傷性ストレスの特徴としては、以下が挙げられます。

心的外傷後ストレス障害PTSD)とほぼ同様の症状が現れる

・何の前触れもなく突然起こる(バーンアウトが徐々におきるのに対し)

・無力感や困惑、孤立無援感がある

・回復のペースも速い

 

と記されています。

 

二次的外傷性ストレスは、程度問題や重症度も様々で、具体的な治療期間を把握できている分野ではなく、重傷者数など実態すらつかめていない分野という印象があります。

 

治療に年単位かかるという場合も想定はできますが、はっきりとした記述もないが、心的外傷後ストレス障害PTSD)に比べ回復しやすい特徴があると考えられています。

 

 

二次的外傷性ストレス[Secondary Traumatic Stress]による反応について、「回復には年単位の時間を要することが多い。」という選択肢は正しいとは言えないので誤答となります。

 

 

 

 

 

⑤不安発作の反復を恐れ、社会的活動が制限される。 ×

 

パニック障害 - Wikipediaの説明と考えられます。

 

パニック障害(パニックしょうがい、英語: Panic disorder ; PD)とは、予期しないパニック発作(Panic attacks, PA)が繰り返し起こっており、1か月以上にわたりパニック発作について心配したり、行動を変えているという特徴を持つ不安障害に分類される精神障害で、特徴の一つに、「パニック発作に強烈な恐怖を感じる。このため、発作が発生した場面を恐れ、また発作が起きるのではないかと、不安を募らせていく。これを予期不安という。そして、患者は神経質となりパニック発作が繰り返し生じるようになっていく。」

 

と記されています。

 

不安発作の反復を恐れ、社会的活動が制限される症状は、パニック障害の予期不安のことを指していると考えられます。

 

 

二次的外傷性ストレス[Secondary Traumatic Stress]による反応について、「不安発作の反復を恐れ、社会的活動が制限される。」という選択肢は正しいとは言えないので誤答となります。

 

公認心理師試験 過去問 2019 問53 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 過去問 2019 問53 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~ 

 

 

公認心理師試験 2019

問53 

 

生活習慣病やその対応について、正しいものを2つ選べ。

心理的支援は、準備期以降の行動変容ステージで行われる。

② 腹囲に反映される内臓脂肪型肥満が大きな危険因子になる。

③ 問題のある生活習慣のリスクを強調することにより、必要な行動変容が進む。

④ メタボリック症候群の段階で行動変容を進めることが、予後の改善のために重要である。

⑤ ライフスタイルの問題によって引き起こされる疾患であるため、薬物療法の効果は期待できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②と④です

 

 

心理的支援は、準備期以降の行動変容ステージで行われる。 ×

 

生活習慣病やその対応については、行動変容ステージモデル | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)にて、行動変容ステージモデルで説明されています。

 

上記の図のように5つのステージを通ると考えられています。

 

現在のステージからひとつでも先のステージに進むためのポイントについて、禁煙の研究から導かれたものを運動に当てはめて以下に示します。

 

  1. 無関心期への働きかけ

意識の高揚

身体活動のメリットを知る

感情的経験

このままでは「まずい」と思う

環境の再評価

周りへの影響を考える

 

  1. 関心期への働きかけ

自己の再評価

身体活動が不足している自分をネガティブに、身体活動を行っている自分をポジティブにイメージする

 

  1. 準備期への働きかけ

自己の解放

身体活動をうまく行えるという自信を持ち、身体活動を始めることを周りの人に宣言する

 

  1. 実行期と維持期への働きかけ

行動置換

不健康な行動を健康的な行動に置き換える(例:ストレスに対してお酒の代わりに身体活動で対処する)

援助関係

身体活動を続ける上で、周りからのサポートを活用する

強化マネジメント

身体活動を続けていることに対して「ほうび」を与える

刺激の統制

身体活動に取り組みやすい環境づくりをする

 

と説明されています。

 

無関心期では、「このままではまずい」と思う働きかけが重要であったり、関心期では、身体活動が不足している自分をネガティブに、身体活動を行っている自分をポジティブにイメージするなど、準備期以降の行動変容ステージだけではなく、全期間通して心理的支援が必要だと考えられます。

 

 

生活習慣病やその対応について、「心理的支援は、準備期以降の行動変容ステージで行われる。」という選択肢は正しいといえないと考えられるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②腹囲に反映される内臓脂肪型肥満が大きな危険因子になる。 〇

 

  1. 肥満と脳梗塞 | 肥満症予防コラム | 一般社団法人 日本肥満症予防協会 (himan.jp)によると

 

 内臓脂肪型肥満が動脈硬化を発症させる理由は実に多様ですが、そのひとつとして脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインがあります。内臓脂肪が蓄積すると脂肪細胞から血栓を起こすPAI-1という物質を多く分泌され、脳梗塞などの要因になることがわかっています。加えて脂肪細胞からは、アディポネクチンという糖尿病や動脈硬化を防ぐアディポサイトカインが分泌されていていますが、内臓脂肪が蓄積するとその分泌が低下して、動脈硬化の原因となります。

 

と記されています。

 

内臓脂肪型肥満が動脈硬化の危険因子となることが分かります。

 

生活習慣病やその対応について、「腹囲に反映される内臓脂肪型肥満が大きな危険因子になる。」という選択肢は正しいと考えられるので正答となります。

 

 

 

 

 

③問題のある生活習慣のリスクを強調することにより、必要な行動変容が進む。 ×

 

①で記した

 

  1. 無関心期への働きかけ

意識の高揚

身体活動のメリットを知る

感情的経験

このままでは「まずい」と思う

環境の再評価

周りへの影響を考える

 

  1. 関心期への働きかけ

自己の再評価

身体活動が不足している自分をネガティブに、身体活動を行っている自分をポジティブにイメージする

 

とあり、リスクを強調などネガティブな面だけではなく、ポジティブな側面の協調も重要となっていることがわかります。

 

 

生活習慣病やその対応について、「問題のある生活習慣のリスクを強調することにより、必要な行動変容が進む。」という選択肢は、解答としては不十分と考えられるので誤答となります。

 

 

 

 

 

④メタボリック症候群の段階で行動変容を進めることが、予後の改善のために重要である。 〇

 

メタボリックシンドロームとは? | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)によると

 

日本では「特定健康診査・特定保健指導」の制度の中で、この考え方をとりいれています。特定健康診査は「メタボ健診」などと呼ばれることもありますが、メタボリックシンドロームだけを見つけるために行っているわけではなく、広く動脈硬化を予防するための検査が含まれます。なお、メタボリックシンドロームの診断基準と特定保健指導の基準とは少し異なります。

 

と記されています。

 

 

生活習慣病やその対応について、「メタボリック症候群の段階で行動変容を進めることが、予後の改善のために重要である。」という選択肢は正しいと考えられるので正答となります。

 

 

 

 

 

⑤ライフスタイルの問題によって引き起こされる疾患であるため、薬物療法の効果は期待できない。 ×

 

日本内科学会雑誌第107巻第2号 (jst.go.jp)によると、「肥満症治療薬の評価基準は対プラセボで 3%以上の減量と,減量により肥満に起因する 複数の疾患の改善を提案している.適応基準に は肥満症,高度肥満症と診断され,かつ食事・ 運動療法を十分行ったにもかかわらず改善が認められない場合に限定されている.」(pp263)

 

と記されています。

 

多くの生活習慣病の治療の第一選択は、食事療法と運動療法ですが、条件によっては薬物療法を併用することも選択肢にあることがわかります。

 

 

生活習慣病やその対応について、「ライフスタイルの問題によって引き起こされる疾患であるため、薬物療法の効果は期待できない。」という選択肢は誤りといえるので誤答となります。

公認心理師試験 過去問 2019 問52 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 過去問 2019 問52 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~ 

 

 

公認心理師試験 2019

問52

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について、正しいものを2つ選べ。

① 適切な配慮を行うためには医師の意見書が必要である。

② 行政機関は合理的な配慮をするように努めなければならない。

③ 対象者の性別、年齢及び障害の状態に応じた配慮が行われる。

④ 対象となる障害には身体障害、知的障害、精神障害及び発達障害が含まれる。

⑤ 事業者は、差別解消の配慮は負担の軽重にかかわらず必要があれば行わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は③と④です

 

 

① 適切な配慮を行うためには医師の意見書が必要である。 ×

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針「内閣府のホームページ 障害を理由とする差別の解消の推進 - 内閣府 (cao.go.jp) 」によると

 

政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第6条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を策定しています。

 

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の基本的な考え方は以下の通りです。

 

 

“(1)法の考え方

全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、日常生活や社会生活における障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことが重要である。このため、法は、後述する、障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定し、行政機関等及び事業者に対し、差別の解消に向けた具体的取組を求めるとともに、普及啓発活動等を通じて、障害者も含めた国民一人ひとりが、それぞれの立場において自発的に取り組むことを促している。

特に、法に規定された合理的配慮の提供に当たる行為は、既に社会の様々な場面において日常的に実践されているものもあり、こうした取組を広く社会に示すことにより、国民一人ひとりの、障害に関する正しい知識の取得や理解が深まり、障害者との建設的対話による相互理解が促進され、取組の裾野が一層広がることを期待するものである。“

 

 

以上のように、障害を理由とする差別の解消の推進には、そもそも医師ではなく、国民一人ひとりが取り組むべきことということが記されています。

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の配慮に関しての考え方は以下の通りです

 

“(1)合理的配慮の基本的な考え方

ア 権利条約第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等及び事業者に対し、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

 

イ 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「(2)過重な負担の基本的な考え方」に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。

時点における一例としては、

 

・車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮

・筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮

・障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更

 

などが挙げられる。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。内閣府及び関係行政機関は、今後、合理的配慮の具体例を蓄積し、広く国民に提供するものとする。

なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。

 

ウ 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。

また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

 

エ 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備(「第5」において後述)を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。“

 

と記されています。

 

「適切な配慮を行うためには医師の意見書が必要である。」という記述や、それを必要だと感じる記述はありません。

 

障害者手帳の交付など、障害者認定を受けた人への支援、移動方法など、医師の意見を必要とする場面はないわけではないですが、適切な配慮を行う場面はその人の生活上必要とする場所に直面する問題なので日常生活に関わる場面での配慮が特に重要になるのではないかと考えます。

 

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について、「適切な配慮を行うためには医師の意見書が必要である。」という選択肢は正しいといえないと考えられるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②行政機関は合理的な配慮をするように努めなければならない。 ×

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 - 内閣府 (cao.go.jp)(平成二十五年法律第六十五号)によると

 

第三章 第七条の第2項に

 

行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。”

 

と記されています。

 

第三章 第八条の第2項には

 

“事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。”

 

と記されています。

 

行政機関等は、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

 

“事業者は、該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

 

行政機関と事業者で言い回しが違います。

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け> - 内閣府 (cao.go.jp)によると

 

以下の質疑応答が記されています。

 

“Q5.合理的配慮について、法律(第7条第2項、第8条第2項)を見ると、国の行政機関や地方公共団体などは「~しなければならない」とされており、民間事業者は「~するよう努めなければならない」とされていますが、これはなぜですか。

 

A. この法律は、教育、医療、公共交通、行政の活動など、幅広い分野を対象とする法律ですが、障害のある方と行政機関や事業者などとの関わり方は具体的な場面によって様々であり、それによって、求められる配慮も多種多様です。

このため、この法律では、合理的配慮に関しては、一律に義務とするのではなく、行政機関などには率先した取組を行うべき主体として義務を課す一方で、民間事業者に関しては努力義務を課した上で、対応指針によって自主的な取組を促すこととしています。

 

と記されています。

 

行政機関などは努力義務ではなく義務を課されており、民間事業者は努力義務ということが分かります。

 

努めるという表記を努力義務と捉えていることがわかります。

 

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について、「行政機関は合理的な配慮をするように努めなければならない。」という選択肢は正しいといえないと考えられるので誤答となります。

 

 

 

 

 

③対象者の性別、年齢及び障害の状態に応じた配慮が行われる。 〇

 

②で記した通り、

 

第三章 第七条の第2項に

 

行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。”

 

第三章 第八条の第2項は

 

“事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。”

 

と記されています。

 

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について、「対象者の性別、年齢及び障害の状態に応じた配慮が行われる。」という選択肢は正しいと考えられるので正答となります。

 

 

 

 

 

④対象となる障害には身体障害、知的障害、精神障害及び発達障害が含まれる。 〇

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 - 内閣府 (cao.go.jp)(平成二十五年法律第六十五号)によると

 

“第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一「障害者 身体障害、知的障害、精神障害発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」“

 

 

と記されています。

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について、「対象となる障害には身体障害、知的障害、精神障害及び発達障害が含まれる。」という選択肢は正しいと考えられるので正答となります。

 

 

 

 

 

⑤事業者は、差別解消の配慮は負担の軽重にかかわらず必要があれば行わなければならない。 〇

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 - 内閣府 (cao.go.jp)(平成二十五年法律第六十五号)によると

 

第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

 

二 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

 

その実施に伴う負担が過重でないときは、事業者は、差別解消の配慮を行わなければならないと捉えられます。

 

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について、「事業者は、差別解消の配慮は負担の軽重にかかわらず必要があれば行わなければならない。」という選択肢は誤りといえるので誤答となります。