公認心理師試験 過去問 2019 問55 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~
公認心理師試験 過去問 2019 問55 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~
公認心理師試験 2019
問55
虞犯について、正しいものを2つ選べ。
① 虞犯少年とは 14 歳以上の者をいう。
② 虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。
③ 虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。
④ 虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。
⑤ 虞犯少年は児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。
解答と解説
正答は②と④です
①虞犯少年とは 14 歳以上の者をいう。 ×
昭和37年版 犯罪白書 第一編/第四章/六によると、 少年のなかには,犯罪を犯すという程度までにはいたらないが,保護者の正当な監督に服さなかったり,正当な理由がなく家庭に寄りつかなかったり,犯罪性のある者や不道徳な人と交際したり,いかがわしい場所に出入りして,将来犯罪を犯す危険性のあるものがある。これを虞犯少年とよんでいる。
一四歳未満の虞犯少年を発見したときは,児童相談所または福祉事務所に通告し,一四歳以上一八歳未満の虞犯少年で児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認められる者も,同様に児童相談所または福祉事務所に通告されるが,一八歳以上の虞犯少年は,家庭裁判所に送致され,また,一四歳以上一八歳未満の虞犯少年で児童福祉法による措置が適当でないと認められた者も,家庭裁判所に送致され,保護事件として審判を受けることになっている。
と記述されています。
14歳以下の該当者も虞犯少年と呼んでいることが分かります。
「虞犯少年とは 14 歳以上の者をいう。」という選択肢は正しいとはいえないので誤答となります。
②虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。 〇
平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第1節/1によると、触法少年及び14歳未満の虞犯少年については,児童福祉法上の措置が優先される。保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を発見した者は,これを市町村,都道府県の福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならず,家庭裁判所は,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り,これらの少年を審判に付することができる。
14歳以上の虞犯少年については,原則として,これを発見した者が家庭裁判所に通告しなければならない。警察官又は保護者は,この虞犯少年が18歳未満であり,かつ,直接これを家庭裁判所に送致し,又は通告するよりも,まず児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは,その少年を直接児童相談所に通告することができる。
なお,家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,相当の期間,家庭裁判所調査官に少年を直接観察させる試験観察に付することができ,また,必要があると認めるときは,保護者に対し,少年の監護に関する責任を自覚させ,その非行を防止するため,調査又は審判において,自ら訓戒,指導その他の必要な措置をとり,又は家庭裁判所調査官に命じてこれらの措置をとらせることができる。
審判の結果,保護処分に付することができず,又は保護処分に付する必要がないと認めるときは,不処分の決定をしなければならない。児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは,事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致しなければならない。死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,刑事処分を相当と認めるときは,事件を検察官に送致するが,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって,その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては,犯行の動機及び態様,犯行後の情況,少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置を相当と認めるときを除き,事件を検察官に送致しなければならない。これらの場合以外は,保護処分をしなければならず,保護観察,児童自立支援施設・児童養護施設送致(18歳未満)又は少年院送致(14歳以上)のいずれかの決定を行う。
と記されています。
また、藤井寺法律事務所のHPに分かりやすい図があります。
虞犯事件の流れ
子どもが家庭裁判所に送致された後の手続きの流れ
図を見るかぎり14歳以上の虞犯事件は、家庭裁判所へ送致され、家庭裁判所の審判により、保護処分となった場合少年院送致となる場合があることがわかります。
「虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。」という選択肢は正しいといえるので正答となります。
③虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。 ×
昭和37年版 犯罪白書 第一編/第四章/六によると、 少年のなかには,犯罪を犯すという程度までにはいたらないが,保護者の正当な監督に服さなかったり,正当な理由がなく家庭に寄りつかなかったり,犯罪性のある者や不道徳な人と交際したり,いかがわしい場所に出入りして,将来犯罪を犯す危険性のあるものがある。これを虞犯少年とよんでいる。
と記されています。
虞犯という意味自体は、犯罪を犯す危険性があることなので、一見適応していそうですが、少年法以外で使用されている場面は調べる限り見受けられなかったので、成人には適応されないと考えます。
「虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。」という選択肢は誤りだと考えられエルので誤答となります。
④虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。 ○
昭和37年版 犯罪白書 第一編/第四章/六によると、 少年のなかには,犯罪を犯すという程度までにはいたらないが,保護者の正当な監督に服さなかったり,正当な理由がなく家庭に寄りつかなかったり,犯罪性のある者や不道徳な人と交際したり,いかがわしい場所に出入りして,将来犯罪を犯す危険性のあるものがある。これを虞犯少年とよんでいる。
と記されています。
「虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。」という選択肢は正しいといえるので正答となります。
⑤虞犯少年は児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。 ×
平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第1節/1によると、触法少年及び14歳未満の虞犯少年については,児童福祉法上の措置が優先される。保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を発見した者は,これを市町村,都道府県の福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならず,家庭裁判所は,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り,これらの少年を審判に付することができる。
14歳以上の虞犯少年については,原則として,これを発見した者が家庭裁判所に通告しなければならない。警察官又は保護者は,この虞犯少年が18歳未満であり,かつ,直接これを家庭裁判所に送致し,又は通告するよりも,まず児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは,その少年を直接児童相談所に通告することができる。
と記されています。
また、藤井寺法律事務所のHPに分かりやすい図があります。
虞犯事件の流れ
と記されています。
「虞犯少年は児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。」という選択肢は正しいとは言えないので誤答となります。