公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

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公認心理師試験 過去問 2019 問26 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問26

 

いじめの重大事態への対応について、最も適切なものを1つ選べ。

① 被害児童生徒・保護者が詳細な調査を望まない場合であっても、調査を行う。

② 重大事態の調査を行った場合は、調査を実施したことや調査結果を社会に公表する。

③ 「疑い」が生じた段階ではなく、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始する。

④ 児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときに限り、重大事態として対応する。

⑤ 保護者から、いじめという表現ではなく人間関係で心身に変調を来したという訴えがあった場合は、安易に重大事態として対応しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は①です

 

 

①被害児童生徒・保護者が詳細な調査を望まない場合であっても、調査を行う。 〇

 

平成29年3月文部科学省によって策定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を参照すると

 

「被害児童生徒・保護者が詳細な調査や事案の公表を望まない場合であっても、学校の設置者及び学校が、可能な限り自らの対応を振り返り、検証することは必要となる。それが再発防止につながり、又は新たな事実が明らかになる可能性もある。このため、決して、被害児童生徒・保護者が望まないことを理由として、自らの対応を検証する ことを怠ってはならない。」

 

と記されています。

 

 

被害児童生徒・保護者が詳細な調査を望まない場合であっても、調査を行う必要があるとされているので正答となります。

 

 

 

 

 

②重大事態の調査を行った場合は、調査を実施したことや調査結果を社会に公表する。 ×

 

平成29年3月文部科学省によって策定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を参照すると

 

「重大事態の調査は、被害児童生徒・保護者が希望する場合は、調査の実施体や調査結果を外部に対して明らかにしないまま行うことも可能であり、学校の設置者及び学校は、被害児童生徒・保護者の意向を的確に把握し、調査方法を工夫しながら調査を進めること。」

 

と記されています。

 

 

重大事態の調査の場合は外部に対して明らかにしないまま行うことも可能となっており、被害児童生徒・保護者の希望により決めていくため、誤答とします。

 

 

 

 

 

 

③「疑い」が生じた段階ではなく、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始する。 ×

 

平成29年3月文部科学省によって策定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を参照すると

 

(重大事態の定義)

○法第28条第1項においては、いじめの重大事態の定義は「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」(同項第1号。以下「生命心身財産重大事態」という。)、「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」(同項第2号。以下「不登校重大事態」という。)とされている。改めて、重大事態は、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならないことを認識すること。

 

 

「疑い」が生じた段階ではなく、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならないことなので誤答とします。

 

 

 

 

 

④ 児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときに限り、重大事態として対応する。

 

平成29年3月文部科学省によって策定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を参照すると

 

いじめの重大事態の定義は「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」(同 項第1号。以下「生命心身財産重大事態」という。)、「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」(同項第2号。以下「不登校重大事態」という。)とされています。

 

 

とのことで、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときに限りに加え、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときも重大事態として扱っているので誤答とします。

 

 

 

 

 

⑤保護者から、いじめという表現ではなく人間関係で心身に変調を来したという訴えがあった場合は、安易に重大事態として対応しない。 ×

 

平成29年3月文部科学省によって策定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を参照すると

 

被害児童生徒や保護者から、「いじめにより重大な被害が生じた」という申立てがあったとき(人間関係が原因で心身の異常や変化を訴える申立て等の「いじめ」という言葉を使わない場合を含む。)は、その時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たること。児童生徒や保護者からの申立ては、学校が知り得ない極めて重要な情報である可能性があることから、調査をしないまま、いじめの重大事態ではないとは断言できないことに留意する。

 

 

人間関係が原因で心身の異常や変化を訴える申立て等の「いじめ」という言葉を使わない場合を含む。とのことでいじめという表現ではなかったとしても重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たること。と記されているので誤答となります。