公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

公認心理師と作業療法士の2足のわらじで働いています。私が体験した治療が上手く行った事例をプライバシーが守れる範囲で簡単に紹介していくことや、治療に関するトピックス、治療者が使いやすいツールや検査法、評価法など紹介していきたいと考えています。

公認心理師試験 過去問 2019 問16 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問16

 

神経心理学的テストバッテリーについて、正しいものを1つ選べ。

① 各心理検査は、信頼性が高ければ妥当性は問われない。

② Luria-Nebraska 神経心理学バッテリーは幼児用として開発された。

③ 固定的なバッテリーの補完としてウェクスラー式知能検査が用いられる。

④ 多くのテストを含む固定的なバッテリーが仮説を検証するために用いられる。

⑤ 可変的なバッテリーでの時計描画テストは、潜在する気分障害を発見するために用いられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は④です

 

 

①各心理検査は、信頼性が高ければ妥当性は問われない。 ×

 

妥当性とは、研究や検査において正確さやバイアスの無さを意味します。

 

一部の地域コミュニティーのみに当てはまるのではなく、一般化できるかなどがしっかりしていれば妥当性があるといえます。

 

一方、信頼性は測定や仕様、解釈が正確であることを意味します。

 

一貫した結果が得られるのではあれば信頼性があるといえます。

 

 

妥当性と信頼性は相互関連の側面があり、どちらかが欠けると有効性を失います。「各心理検査は、信頼性が高ければ妥当性は問われない。」は誤りとなるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②Luria-Nebraska 神経心理学バッテリーは幼児用として開発された。 ×

 

Luria-Nebraska(ルリア・ネブラスカ神経心理学バッテリーは、運動、リズム、触覚、視覚、受容性言語、表出性言語、書字、音読、算数、記憶、知能、中期記憶の12尺度からなり、脳損傷の部位や程度を評価することができます。

 

 

この検査は15歳以上で使用するためのものなので誤答となります。

 

 

 

 

 

③固定的なバッテリーの補完としてウェクスラー式知能検査が用いられる。 ×

 

沢山の知能検査がある中、最も広く用いられているのが、ウェクスラー式知能検査(WAIS)となっています。

 

包括的にIQを測定することができます。

 

 

細かく必要な検査を組み合わせて使用する検査もあるなか、固定的なバッテリーとしてウェクスラー式知能検査が用いられると言えます。補完する必要がない検査といえるので誤答となります。

 

 

 

 

④多くのテストを含む固定的なバッテリーが仮説を検証するために用いられる。 〇

 

 

医師や心理技術者がある程度見立て(仮説)を立てて、検証するために検査は行われます。

 

 

逆に見立てがなく検査を行うことは避けるべきだと言えます。

 

 

よって「多くのテストを含む固定的なバッテリーが仮説を検証するために用いられる」は正答となります。

 

 

 

 

⑤可変的なバッテリーでの時計描画テストは、潜在する気分障害を発見するために用いられる。 ×

 

時計描画テストは、認知症のスクリーニング検査として使用されているので、誤答になります。