公認心理師試験 過去問 2019 問4 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~
公認心理師試験 2019
問4
普通教育に適する子どもとそうでない子どもを見分けるための検査法を最初に開発した人物は誰か、正しいものを1つ選べ。
① A. Binet
② D. Wechsler
③ E. Kraepelin
④ F. Galton
⑤ J. Piaget
解答と解説
正答は①です
① A. Binet 〇
「鈴木ビネー知能検査」や「田中ビネー知能検査」でお馴染みのビネーさんですね。
T.Simon(テオドール・シモン)と一緒に世界で初めて(1905年)知能検査は開発した人となります。
精神年齢という概念を開発し尺度を用いる方法の検査を開発しました。
②D. Wechsler ×
WISC(ウィスク)、WAIS(ウェイス)、WPPSI(ウィプシー)でお馴染みのウェクスラーさんですね。
ウェクスラー・ベルビュー知能検査として、1939年に開発され、WAIS(ウェイス)は1955年に出版されています。
ビネー検査に比べ、WAIS(ウェイス)は、発達年齢だけでなく、個別的な特性や具体手に苦手な分野が分かる検査になっています。
③E. Kraepelin ×
(Emil Kraepelin)エミール・クレペリンは、ドイツの精神科医で、精神病を「早発性痴呆」(現在の統合失調症、旧称「精神分裂病」)と「躁うつ病」(現在の双極性障害)に分類したことで有名です。
クレペリンは作業曲線を研究し、それに大きな個人差があることや、作業曲線の個人差がその人の精神的・心理的特徴と関係することを見いだした。
作業曲線の研究は1902年に発表されており、①の知能検査1905年より早く、一見正解と思えますが、検査法を開発したのはクレペリンではありません。
クレペリンの作業曲線を元に、日本の内田勇三郎が1920年代から1930年代にかけて開発した心理検査が、内田クレペリン精神検査となります。
④ F. Galton 〇
(F. Galton)フランシス・ゴルトンは、イギリスの人類学者、統計学者、探検家、遺伝学者と様々な肩書を持つ人物です。
ゴルトンは、ダーウィンの進化論の影響を受け優生学、相関研究を含む統計的研究法を発達させ、個人的心理学の基礎を作りました。
彼の一番有名な功績は、統計学においての、平均への回帰と呼ばれる現象についての記述を初めて行ったことや、相関係数の概念の提唱などがあります。
しかし、検査法は開発しておりません。
⑤J.Piaget ×
(J.Piaget)ジャン・ピアジェは、スイスの心理学者。フロイト、エリクソンと並ぶ、発達理論を提唱した心理学者で、20世紀において最も影響力の大きかった心理学者の一人です。
ピアジェの考えた発達段階が以下の通りです。
1.感覚運動期…0〜2歳。赤ん坊はこの時期に身近な環境に関わり、吸う、つかむ、たたくなどの身体的な活動を身につける。
2.前操作期…2〜7歳。直感的で知覚に左右される。(水を違う形の容器に移し換えると水の量が変わると思ってしまうなど。次の具体的操作期になるとこれが克服される。)
3.具体的操作期…7〜11歳。具体的に理解できるものは論理的に考察できる。保存概念の獲得。
4.形式的操作期…11歳〜15歳。抽象的な事柄でも論理的に考察できる。仮説演繹的思考ができる。
ピアジェは発達理論は展開させましたが、検査の開発は行っていませんでした。