公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

公認心理師と作業療法士の2足のわらじで働いています。私が体験した治療が上手く行った事例をプライバシーが守れる範囲で簡単に紹介していくことや、治療に関するトピックス、治療者が使いやすいツールや検査法、評価法など紹介していきたいと考えています。

公認心理師試験 過去問 2019 問2 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問2

 

統合失調症デイケア利用者 A についてのケア会議で、スタッフBが「Aさんは気難しく、人の話を聞いていないので関わりが難しい」と発言した。A には幻聴がある。会議の中で、B の発言に対する公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

 

①スタッフの交代を提案する。

②専門職に困難はつきものであると諭す。

③幻聴についてどの程度の知識があるかを質問する。

④どのような場面で関わりが困難と感じるかを質問する。

⑤関わりを拒否するような態度は正しくないことを指摘する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は④です

 

 

①スタッフの交代を提案する。 ×

 

スタッフBさんの「Aさんは気難しく、人の話を聞いていないので関わりが難しい」との発言のみで、スタッフ交代を告げるのは、適切とは思えないです。

 

まずは、スタッフBさんがなぜそう思ったのか、Aさんのどのような情報があれば、Bさん考えや対応が変わるなどを考えることが重要になると思います。

 

公認心理師の責務として、Aさんを取り巻くスタッフへの相談、助言、指導も含まれており、Aさんのもつ幻聴に左右された行動も含めて、どのように対応すれば良いかを考えてカンファレンス等で共有することが大事だと思います。

 

 

 

 

 

②専門職に困難はつきものであると諭す。 ×

スタッフBさんがAさんの対応に困難を感じ、どうすれば良いか分からない状況、つまり困っている、苦しい状況と読み取れます。

 

その状況を受け止めるように話すのは、スタッフの就労継続の危機に繋がるおそれ、もしくは、対応に困難を感じたら拒否的な態度を示すスタッフになるような育成に繋がるおそれと考えられます。

 

この場合は、本人がそう思った理由と、どうすれば上手く対応できるか、幻聴によりどのような思考過程が展開し、現在起きている対応しづらい行動に繋がっているか、一緒に考えながら指導していくことが大事だと考えます。

 

 

 

 

 

③幻聴についてどの程度の知識があるかを質問する。 ×

これは、スタッフBさんの未熟な部分を明白にする質問になるので、会議の場で聞くことは本人の未熟さを会議出席者全員に知らせる行為になります。

 

これは、指導者の担当や役割をもった人が、本人に個別で行うことが大事だと思います。

 

 

 

 

 

④どのような場面で関わりが困難と感じるかを質問する。 〇

 

情報を収集しつつ、スタッフBさんを責めることなく、Aさんの関わり方の難しさの共有と対応方法を検討する場となる会議にするための質問だと思います。

 

 

 

 

⑤関わりを拒否するような態度は正しくないことを指摘する。 ×

 

関わりを拒否するような態度は正しくないことは間違いないと思いますが、それを会議の場で指摘することは、指導方法としては正しくないと思われます。

 

また、指導方法として、なぜそう関わりを拒否する態度になってしまったかの過程を把握せず、正しくないとスタッフBさんを責めるのも良くないですね。