公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

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公認心理師試験 過去問 2019 問42 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問42

 

児童相談所の業務内容として、誤っているものを1つ選べ。

① 親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させる。

② 必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護をする。

③ 親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させる。

④ 子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行う。

⑤ 市区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は①です

 

 

①親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させる。 〇

 

児童相談所の業務と役割は以下の通りとなります。

児童相談所の役割

業務内容

市町村への情報提供

·      市町村に対して情報を提供する

·      市町村間の情報共有

相談と専門的援助

·      市民からの相談のうち、専門的な知識や技術が必要なものに関して、調査や診断を通して援助方針を定めて援助を実施

·      必要に応じて関係機関と連携を図る

一時保護

·      必要性があると判断した場合、子どもを家庭から話して一時的に保護する

指導・措置

·      児童福祉司や児童委員などに子どもを指導させる

·      児童福祉司や児童委員などに保護者を指導させる

·      必要に応じて、子どもを児童福祉施設などに入所させる

 

 

 

未来地図(https://www.miraichizu.jp/knowledge/3177/)より抜粋

 

未来地図は児童相談所に関する情報がわかりやすくまとめられていますので、一度参照すると良いかもしれません。

 

家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という)を成立させることができる」(民法817条の)とあり、

 

特別養子縁組を成立させることができるのは家庭裁判所になります。

 

養子縁組許可審判の申立てが受理されると、家庭裁判所が、養子縁組をすることが養子となる人(未成年者や被後見人)の利益(福祉)にかなうか否かについて審理を行います。

 

裁判官の命令を受けた家庭裁判所調査官が、申立人、未成年者(被後見人)、養子縁組の代諾者(未成年者が15歳未満の場合のみ)を裁判所に呼び出して事情を聴取したり、裁判官が直に審問したりします。

 

また、養子縁組が成立することで影響を受ける親族などに対して照会書が送付され、意向確認がなされます。

 

家庭裁判所は、調査や審問の結果に基づいて養子縁組を許可するか否かの判断を示します。

 

 

親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させることは、児童相談所の業務内容として、誤っているので正答となります。

 

 

 

 

 

②必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護をする。 ×

 

一時保護に関しては児童福祉法第33条第1項には

児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる」

 

と記されています。

 

児童福祉法はこちらを参照しています。(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82060000&dataType=0&pageNo=3

 

 

児童相談所の業務内容として、必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護をすることは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

③親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させる。 ×

 

児童福祉法第11条第2項のト(5)によると

 

「第二十七条第一項第三号の規定により里親に委託しようとする児童及びその保護者並びに里親の意見を聴いて、当該児童の養育の内容その他の厚生労働省令で定める事項について当該児童の養育に関する計画を作成すること」

 

とあり、親権者の同意が必要になる旨が記されています。

 

かかる同意についても任意であるため拒否することが可能ですが、これに対し、児童相談所は、家庭裁判所に対し、親権者に代わって入所措置を承認するよう審判を申し立ててくるのが通常となっています。

 

そして、家庭裁判所が申立てを認める審判を行った場合は、通常2年間、同意なしで児童養護施設等へ入所するという流れになります。

 

 

児童相談所の業務内容として、親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させることは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

④子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行う。 ×

 

こちらでは、厚生労働省ホームページの児童相談所の概要を参照しています(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv19/01-01.html)。

 

厚生労働省ホームページの児童相談所の概要の第1章   児童相談所の概要、第1節   児童相談所の性格と任務、1. 児童相談所の設置目的と相談援助活動の理念の(1)には、

 

(1)  児童相談所は、市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニ-ズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護すること(以下「相談援助活動」という。)を主たる目的として都道府県、指定都市(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市をいう。以下同じ。)及び児童相談所設置市(児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第59条の4第1項の児童相談所設置市をいう。以下同じ。)(以下「都道府県等」という。)に設置される行政機関である。

 

と記されています。

 

また、(3)には

 

(3)  児童相談所は、この目的を達成するために、基本的に次の3つの条件を満たしている必要がある。

   [1]  児童福祉に関する高い専門性を有していること

   [2]  地域住民に浸透した機関であること

   [3]  児童福祉に関する機関、施設等との連携が十分に図られていること

 

と記されており、児童相談所は子どもに関する専門性を要する機関ということがわかります。

 

2. 児童相談所の任務、機能には、

(1)  従来は、あらゆる児童家庭相談について児童相談所が対応することとされてきたが、近年、児童虐待相談等の急増により、緊急かつより高度な専門的対応が求められる一方で、育児不安等を背景に、身近な子育て相談ニーズも増大しており、こうした幅広い相談全てを児童相談所のみが受け止めることは必ずしも効率的ではなく、市町村をはじめ多様な機関によるきめ細やかな対応が求められている。

 

こうした状況を踏まえ、平成16児童福祉法改正法により、平成17年4月から、

   [1]児童家庭相談に応じることを市町村の業務として法律上明確にし、住民に身近な市町村において、虐待の未然防止・早期発見を中心に積極的な取組みを求めつつ、

 

   [2]都道府県等(児童相談所)の役割を、専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や市町村の後方支援に重点化し、

 

   [3]さらに保護者に対する指導に家庭裁判所が関与する仕組みを導入するなど司法関与の強化を行う等の措置を講じ、児童家庭相談に関わる主体を増加させるとともに、その役割を明確化することにより、全体として地域における児童家庭相談体制の充実を図ることとされた。

 

と記されています。

 

平成16年児童福祉法改正法から、あらゆる相談にのる体制から子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行うように変わったと捉えることができます。

 

 

児童相談所の業務内容として、子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行うことは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

⑤市区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行う。 ×

 

④に「都道府県等(児童相談所)の役割を、専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や市町村の後方支援に重点化し」と記されている通り

 

市区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行う役割をもっていることがわかります。

 

 

児童相談所の業務内容として、区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行うことは正しいといえるので誤答となります。