公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

公認心理師と作業療法士の2足のわらじで働いています。私が体験した治療が上手く行った事例をプライバシーが守れる範囲で簡単に紹介していくことや、治療に関するトピックス、治療者が使いやすいツールや検査法、評価法など紹介していきたいと考えています。

公認心理師試験 過去問 2019 問34 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問34

 

学校における自殺予防教育について、最も適切なものを1つ選べ。

① プログラムは地域で共通のものを使用する。

② 学級づくりのできるだけ早い段階に実施する。

③ 目標は早期の問題認識及び援助希求的態度の育成である。

④ いのちは大切なものであるという正しい価値観を提供する。

⑤ 自殺のリスクを抱える児童生徒のプログラム参加は避ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は③です

 

 

①プログラムは地域で共通のものを使用する。 ×

 

文部科学省のホームページにあるにある「教師が知っておきたい子どもの自殺予防のマニュアル及びリーフレット

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/046/gaiyou/1259186.htm)と

「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」及び「子供の自殺等の実態分析」

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/063_5/gaiyou/1351873.htm

を参考にすると、

 

学校、医療機関、家庭の連携の重要性。地域の様々な人との連携の重要性は書かれていますが、プログラムは地域で共通のものを使用する旨の言葉は書かれておらず、学校においての動きについて書かれています。

 

学校は学校という思春期の同世代の人が集まるという特殊な環境・状況において、その環境・状況に合わせた学校ならではの取り組みが必要になると考えられます。

 

 

よって、地域連携は重要だが、プログラムは地域で共通のものを使用しないと考えられますので誤答とします。

 

 

 

 

 

②学級づくりのできるだけ早い段階に実施する。 ×

 

「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」及び「子供の自殺等の実態分析」の「第4章 自殺予防教育実施前後の留意点 1.自殺予防教育実施に向けての下地づくりの教育」によると

 

 

「自殺予防を直接テーマとする教育を実施するためには,それ以前に子供の実態に合わせて,自殺予防教育につながる様々な取組を行うことが求められます。 日頃,実施している教育活動の中に自殺予防に焦点化した教育の下地づくり(基盤)となる内容が多く含まれていることを認識し,自殺予防教育と連動させて行うことが,子供及び教師の抵抗感を少なくすることにつながると思われます。 下地づくり(基盤)となる既存の教育活動として「生命を尊重する教育」や「心身の健康を育む教育」,「暖かい人間関係を築く教育」などを挙げることができます。また,これらの教育活動を充実させていくためには,子供たちの些細(ささい)な言動から個々の置かれた状況や心理状態を推し量ることができる感性を高めることや,困ったときには何でも相談できる子供と教師との信頼関係づくり,相談しやすい雰囲気づくり,保健室,相談室などを気軽に利用しやすい所にする居場所づくりなど,子供の心に寄り添う「校内の環境づくり」も重要になります。下地づくりとなる教育活動の充実は,全ての子どもたちが生き生きと学校生活を送るため にも大切です。」  

 

と記されています。

 

 

学級づくりのできるだけ早い段階に実施するより、学校全体の下地作りが重要とされていますので誤答とします。

 

 

 

 

 

③目標は早期の問題認識及び援助希求的態度の育成である。 〇

 

「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」及び「子供の自殺等の実態分析」の「第4章 自殺予防教育実施前後の留意点 2.自殺予防教育実施前の配慮」によると

 

“学校における自殺予防教育は,第 3 章で示したように,「早期の問題認識(心の健康)」「援助希求的態度の育成」をねらいとするものです。なかでも,人生のできるだけ早い段階で,生涯を通じてのメンタルヘルスの基礎作りとして,危機に直面した際の援助希求能力を高めることや友人の危機に遭遇した際に一人で抱えず,信頼できる大人につなぐことの重要性を強調しています。”

 

と記されています。

 

早期の問題認識及び援助希求的態度の育成が学校における自殺予防教育のねらいとなっているので正答とします。

 

 

 

 

 

④いのちは大切なものであるという正しい価値観を提供する。 ×

 

「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」及び「子供の自殺等の実態分析」の「第3章 学校における自殺予防教育プログラムの展開例 1.子供を対象とした自殺予防教育プログラムの方向性」によると

 

“学校における自殺予防教育の目標は、

「早期の問題認識(心の健康)」「援助希求的態度の育成」です。

 

ここで提案する自殺予防に関する授業は、

・自殺の深刻な実態を知る。

・心の危機のサインを理解する。

・心の危機に陥った自分自身や友人への関わり方を学ぶ。

・地域の援助機関を知る。

 

という内容から構成されるものです。

 

「いのちは大切」といった価値観を一方的に与えるのではなく,五感を通じていのちについて考えることをねらいとしました。正しいと自明視されているものとして価値観を示されると,身近な人を自殺で亡くした人や自傷行為をしてしまう子供たちは,「いのちを大切にできない親(自分)は駄目な存在」と自らを責め,より一層自尊感情を低めてしまう恐れがあります。“

 

と記されています。

 

 

 

いのちはもちろん大切ですが、思春期のメンラルヘルスの問題では、いのちは大切なものであるという正しい価値観を提供することで発生するリスク、解決しない問題が多くあるので誤答とします。

 

 

 

 

 

⑤自殺のリスクを抱える児童生徒のプログラム参加は避ける。 ×

 

「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」及び「子供の自殺等の実態分析」の「第1章 子供の自殺予防に向けた取組に関する検討会の経緯と子供を直接対象とした自 殺予防教育を実施する上での前提条件」によると

 

“自殺予防教育を実施するに当たって,次の 3つの前提条件について十分に検討しておく必要があることが米国への視察や海外の文献の調査等で明らかにされています。すなわち,①関係者間の合意形成,②適切な教育内容,③ハイリスクの子供のフォローアップ,です。

 

また、“可能であれば,地域の専門機関に対して,子供対象の自殺予防教育プログラム実施後に,専門機関でのフォローが必要だと判断された子供を紹介する可能性があることを,あらかじめ伝え協力を依頼しておくことが望ましいと思われます。 ”

 

と記されています。

 

 

自殺のリスクを抱える児童生徒のプログラム参加は避けるのではなく、どのようにフォローアップするかを考えることが重要となります。実態としては、具体的な取り組みは各学校や自治体が手探りで行っているような状況だと考えられます。

 

 

自殺のリスクを抱える児童生徒のプログラム参加は避けるのは誤りと考えられるので誤答とします。

公認心理師試験 過去問 2019 問33 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問33

 

ストレスチェック制度について、正しいものを1つ選べ。

① 事業者は、ストレスチェックの実施者を兼ねることができる。

② 事業者は、面接指導の結果を記録しておかなければならない。

③ 事業者は、労働者の同意がなくても、その検査の結果を把握することができる。

④ 医師による面接指導を実施するにあたり、情報通信機器を用いて行うことは認められていない。

⑤ 事業者は、一定程度以上の心理的な負担が認められる全ての労働者に対し医師による面接指導を行わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②です

 

 

①事業者は、ストレスチェックの実施者を兼ねることができる。 ×

 

労働安全衛生規則第52条の10第2項によると

 

「検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない」

 

と記されています。

 

事業者はほとんどの場合、解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある立場にいる人です。

 

 

ほとんどの場合は事業者は、ストレスチェックの実施者を兼ねることができないと考えられるので誤答とします。

 

 

 

 

 

②事業者は、面接指導の結果を記録しておかなければならない。 〇

 

労働安全衛生法第66条の10項によると

 

「事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。」

 

「事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。」

 

と記されています。

 

 

事業者は、面接指導の結果を記録しておかなければならないので正答とします。

 

 

 

 

 

③事業者は、労働者の同意がなくても、その検査の結果を把握することができる。 ×

 

労働安全衛生法第66条の10項によると

 

「事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。」

 

 

上記の通り検査結果に関しては、労働者の同意を得なければ結果を把握してはいけないので誤答とします。

 

 

 

 

 

④医師による面接指導を実施するにあたり、情報通信機器を用いて行うことは認められていない。 ×

 

労働安全衛生規則第66条の8第1項によると

 

「原則として直接対面によって行うことが望ましい。」

 

「一方、情報通信機器を用いて面接指導を行った場合も、労働者の心身の状況を把握し、必要な指導を行うことができる状況で実施するのであれば、直ちに法違反となるものではない。」

 

と記されています。

 

また、プライバシーの配慮や緊急時の対応の連携などについても記されています。

 

今回、流行しているコロナウイルスの影響で、より情報通信機器を用いたストレスチェックを行わざるおえない事業所も沢山あるのではないかと思います。

 

 

医師による面接指導を実施するにあたり、情報通信機器を用いて行うことは認められてはいるので誤答とします。

 

 

 

 

 

⑤事業者は、一定程度以上の心理的な負担が認められる全ての労働者に対し医師による面接指導を行わなければならない。 ×

 

労働安全衛生法第66条の10項によると

 

事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。

 

と記されています。

 

 

事業者は、一定程度以上の心理的な負担が認められる人が希望した場合にのみ医師による面接指導を行わなければならないので、誤答とします。

公認心理師試験 過去問 2019 問32 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問32

 

我が国の保険診療の制度について、正しいものを1つ選べ。

後期高齢者医療制度の対象は80歳以上である。

② 被保険者は保険医療機関に一部負担金を支払う。

③ 審査支払機関は企業・事業所に負担金を請求する。

④ 診療報酬は保険者から保険医療機関に直接支払われる。

保険薬局は処方箋を交付した保険医療機関に薬剤費を請求する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②です

 

 

後期高齢者医療制度の対象は 80 歳以上である。 ×

 

後期高齢者医療制度の対象となる被保険者は以下のとおりです(第50条)。

 

・広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者

 

・広域連合の区域内に住所を有する65歳〜74歳の者であって、政令で定める程度の障害の状態にある旨の認定を広域連合から受けた者

 

・ただし、生活保護法による生活保護を受けている世帯に属する者その他適用除外とすべき特別の理由がある者を除く(第51条)。

 

とされています。

 

 

後期高齢者医療制度の対象は 80 歳以上ではないので誤答とします。

 

 

 

 

 

②被保険者は保健医療機関に一部負担金を支払う。 〇

 

健康保険法第74条に一部負担金に関する規定が示されております。

 

「第六十三条第三項の規定により保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき第七十六条第二項又は第三項の規定により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない」

 

とされています。

 

病院や診療所にかかったとき、小学生以上で70歳未満の人は所得に関係なく3割を自己負担します。

 

70歳になると2割、75歳以上になると1割負担となっています。

 

「現役並み所得者」と呼ばれる年収約370万円以上の人は、70歳以降もずっと3割を自己負担することになっており、仕事をしていたり、年金が高かったりして、一定以上の収入がある人は、医療費の負担も高くなります。

 

 

よって被保険者は保健医療機関に一部負担金を支払うは正しいので正答とします。

 

 

 

 

 

③審査支払機関は企業・事業所に負担金を請求する。 ×

 

病院や診療所などの保険診療を行った医療機関が、保険の分を一時的に負担して、後で審査支払機関に負担金を請求します。

 

 

「審査支払機関は企業・事業所に負担金を請求する」は、流れとは逆になっているので誤答とします。

 

 

 

 

④診療報酬は保険者から保険医療機関に直接支払われる。 ×

 

診療報酬の一部負担金は保険者から支払いますが、基本的には社会保険診療報酬師原基金から保険医療機関に支払われます。

 

 

「診療報酬は保険者から保険医療機関に直接支払われる」は誤りなので誤答とします。

 

 

 

 

 

保険薬局は処方箋を交付した保険医療機関に薬剤費を請求する。 ×

 

 

保険薬局も病院や診療所などと同様に保険医療機関なので、社会保険診療報酬師原基金から支払われますので、誤答とします。

公認心理師試験 過去問 2019 問31 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問31

 

オピオイドの副作用として頻度が高いものを1つ選べ。

① 下痢

② 疼痛

③ 流涎

④ せん妄

錐体外路症状

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は①です

 

 

① 下痢 ×

 

オピオイドとは、麻薬系の鎮痛薬です。鎮痛薬の中でも、最も作用が強い鎮痛薬で、主に癌や重症疾患の、急激な痛みや慢性痛に対して、利用されています。

 

オピオイドの副作用は以下の通りです。

・眠気

・吐き気

・嘔吐

・食欲不振

・便秘

錯乱、幻覚、せん妄

・蕁麻疹(じんましん)、低体温、徐脈/頻脈

・起立性低血圧、めまい、頭痛、尿閉、尿管痙攣

・胆道痙攣、筋硬直、ミオクローヌス、フラッシュ

・耐性

・依存性

・無気肺

・気管支痙攣

喉頭浮腫

・麻痺性イレウス

・中毒性巨大結腸

・肝機能障害

・口渇

・発汗

・めまい、ふらつき

・耳鳴り

・縮瞳

(特に高齢の方)

・尿の貯留

・錯乱

・便秘

 

 

オピオイドの副作用に下痢は該当しないので誤答とします。

 

 

 

 

 

② 疼痛 ×

 

間接的に疼痛に至るであろう副作用はありますが直接的に神経過敏など疼痛に繋がるものはないので誤答とします。

 

 

 

 

 

③流涎 ×

 

オピオイドの副作用に流延は該当しないので誤答とします。

 

 

 

 

 

④せん妄 〇

 

オピオイドなどの麻薬系の鎮痛薬は、高齢のガン患者などに投与するとせん妄が出現しやすく、高齢であればあるほど出現しやすい傾向にあります。また、投与量が多いと出現頻度は多くなります。

 

オピオイドの副作用に錯乱、幻覚、せん妄があるので正答とします。

 

 

 

 

 

錐体外路症状 ×

 

便秘など軽微な錐体外路症状は出現リスクはありますが、せん妄に比べ頻度は少ないので誤答とします。

公認心理師試験 過去問 2019 問30 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問30

 

緊張病に特徴的な症状として、正しいものを1つ選べ。

① 昏迷

② 途絶

③ 観念奔逸

④ 情動麻痺

⑤ カタプレキシー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は①です

 

 

①昏迷 〇

 

緊張病とは、カタトニアもしくはカタトニーと呼ばれる精神運動の低下および昏迷状態に代表される異常行動を特徴とする状態です。

 

2012年までカタトニアは、緊張型として統合失調症(思考や感情、行動などの脳の機能がうまくまとまらない)の一亜型に分類されていましたが、現在ではカタトニア症候群として非特異的であり、その他の精神障害および神経学的状態においても観察されうるとされています。

 

DSM-5においては、緊張病は単独の疾患としては分類されていませんが、統合失調症(カタトニア型)、双極性障害PTSDうつ病、その他の精神疾患ナルコレプシー薬物乱用、抗精神薬などのオーバードーズなど、カタトニアの原疾患は様々なものがあります。

 

DSM-5では以下の12の症状のうち3つを満たす場合に緊張病と診断できるとしています。

 

A.臨床像は以下のうち3つ(またはそれ以上)が優勢である。

(1)昏迷:すなわち、精神運動性の活動がない。周囲と活動的なつながりがない

(2)カタレプシー:すなわち、受動的にとらされた姿勢を重力に抗したまま保持する

(3)蝋屈症:すなわち、検査者に姿勢をとらされることを無視し、抵抗さえする

(4)無言症:すなわち、言語反応がない。またはごくわずかしかない(既知の失語症があれば除外)

(5)拒絶症:すなわち、指示や外的刺激に対して反対する、または反応がない

(6)姿勢保持:すなわち、重力に抗して姿勢を自発的・能動的に維持する

(7)わざとらしさ:すなわち、普通の所作を奇妙、迂遠に演じる

(8)常同症:すなわち、反復的で異常な頻度の、目標指向のない運動

(9)外的な刺激が影響によらない興奮

(10)しかめ面

(11)反響言語:すなわち、他者の言葉を真似する

(12)反響動作:すなわち、他者の動作を真似する

 

となっています。

 

 

(1)昏迷:すなわち、精神運動性の活動がない。周囲と活動的なつながりがないとあります。緊張病に特徴的な症状として、正しいので正答とします。

 

 

 

 

 

②途絶 ×

 

こちらは、統合失調症の症状で、突然の思考停止する症状を指します。

 

 

緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。

 

 

 

 

 

③観念奔逸 ×

 

観念奔逸は双極性障害躁状態で出現しやすい症状で、考えが次から次へと

 

ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。

 

緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。

 

 

 

 

④情動麻痺 ×

 

情動麻痺という言葉は、臨床においても、文献検索をしても出てこない用語です。

 

ニュアンスから察するに、感情鈍麻だと推測していきます。

 

感情鈍麻は、感情を起こすような外からの刺激に対して感情が起こらず,周囲に対して冷淡または不感性になった状態を言い、統合失調症の慢性期に出現しやすい陰性症状です。

 

 

緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。

 

 

 

 

 

⑤カタプレキシー ×

 

カタプレキシーもしくはカタプレクシーとは、喜怒哀楽、恐れや羞恥といった過度の情動刺激(感情の高ぶり)により発生する発作症状です。

 

日中において場所や状況を選ばず起こる強い眠気発作を主な症状とする睡眠障害であるである、ナルコレプシーⅠ型の有力な症状にカタプレキシーがあります。

 

 

緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。

公認心理師試験 過去問 2019 問29 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問29

 

ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルは何か、正しいものを1つ選べ。

① インシデント

② 危険予知モデル

③ スイスチーズモデル

④ スノーボールモデル

ハインリッヒの法則

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は⑤です

 

 

①インシデント ×

 

インシデントとは、事故につながりかねない医療行為を未然に防げた例や、実施されたが結果的に患者に傷害や不利益を及ぼさなかった事象、日常診療で起こりそうな医療事故や医療過誤などに事前に気付いて対処できた事例などのことを指します。

 

インシデントの事例(インシデントレポート)を集計し、対策を立てることで、医療ミスや医療事故の発生の防止、その他のインシデントの発見に役立てることを目的としています。

 

インシデントの分析はSHELモデルで分析されます。

 

S : Software (マニュアル、作業標準など)

H : Hardware (設備、装置、機械など)

E : Environment (作業環境)

L : Liveware (人間、作業者) ※中央は当事者で、周囲は関係者)

 

これらの要因ごとに分析をし、そのインシデント発生の原因を把握して対処します。

 

Lを当事者と周囲の人々の二つに分けてSHELL(シェル)モデルということもあります。

 

SHELモデルは、航空事故に関して1972年に Elwin Edwards によって作られたモデルをもとに、1975年にFrank H Hawkinsが作り、これが日本では徐々に医療・介護分野でも応用されていくという背景があります。

 

 

ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。

 

 

 

 

 

②危険予知モデル ×

 

危険予知モデルとはあまり、馴染みのない言葉で調べてもあまり出てきませんでした。

 

なのでKYT(危険予知訓練、危険予知活動、危険予知トレーニング)と解釈していきます。

 

危険予知トレーニング(KYT)には、次のような意義があります。

1.危険を危険と気付く感受性を鋭くする

2.危険に対する集中力を高める

3.危険に対する情報を共有し合い、それをミーティングで解決していくことで、メンバーの問題解決能力を向上する

4.危険予知活動実践への意欲を強める

5.安全先取り職場風土づくり

 

危険予知トレーニング(KYT)は、4ラウンド法が最もポピュラーです。その一例は次のとおりです。

 

 

〇まず、職場や作業現場等の何気ない日常の風景を写真に撮ったりイラスト図を書いたりして、それらの図表を作業チームの前に提示する。

 

現状把握:どんな危険が、ひそんでいるかどのような危険が潜んでいるか、問題点を指摘させる。問題点の指摘は自由に行わせ、他のメンバーの指摘内容を批判するようなことは避ける。

 

本質追究:これが、危険のポイントだ

指摘内容が一通り出揃ったところで、その問題点の原因などについてメンバー間で検討させ、問題点を整理する。

 

対策樹立:あなたなら、どうする

整理した問題点について、改善策、解決策などをメンバーにあげさせる。

 

目標設定:私たちは、こうする

あがった解決策などをメンバー間で討議、合意の上、まとめさせる。

 

合意結果は、メンバー間の共通認識として情報を共有し、事前の危険回避を図る。 このような活動を定期的に行ううちに、日常の作業をただ流すだけでなく、常に、何か危険は潜んでいないかと各自に考える習慣を持たせることも期待できる。

 

以上が危険予知トレーニング(KYT)は、4ラウンド法の流れとなります。

 

 

ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。

 

 

 

 

 

③スイスチーズモデル ×

 

スイスチーズモデル(: Swiss cheese model)は、マンチェスター大学のジェームズ・リーズンが提唱した、航空安全工学医療の場などで用いられるリスクマネジメントおよびリスク分析の基礎概念。 穴の空いているスイスチーズを策に見立て重ねることで貫通するリスクを冗長化している。

 

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』より

 

とあります。

 

通常、事故が想定される場合には、いくつかの防護壁を設けているものです。ここでいう「防護壁」とは、当該危険に対して設けるすべての安全対策を含みます。組織的な安全への取り組みも防護壁といえます。そしてその防護壁を重複することによって事故を防止して、安全を維持しようとするのです。

 

しかし事故は、これらの防護壁の脆弱な部分や連鎖的なエラーの隙を通過していきます。

いずれにしても事故とは、これら様々な防護壁の穴をすり抜けて、結果的に発生する事象そのものといえます。スイスチーズモデルを提唱したジェームズ・リーズンは、このような事故のモデルをチーズの穴に例えて可視化したものです。

 

 

ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。

 

 

 

 

 

④スノーボールモデル ×

 

スノーボールモデルとは、1つのエラーが別のエラーを誘発し、そのエラーがさらに別のエラーにつながって患者のところまで到達し事故を生むこと連鎖のことを指す言葉です。

 

例として、似た名前の患者を確認せずに本来とは別の処置をし、引き継いだ別のスタッフも、確認しないままに別の処方箋で薬を出してしまう。といった具合です。

 

雪玉がごろごろと大きくなりながら坂を転がり落ちていくように、エラーがエラーを生んで危険が増幅していくというイメージから、「スノーボール・モデル」と呼ばれています。

※日本看護学校協議会共済会HPより引用

https://www.e-kango.net/safetynet/measures/page12.html

 

 

問題分にかなり近いモデルですが、ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。

 

 

ハインリッヒの法則 〇

 

ハインリッヒの法則とは、「1件の重大事故の背景には、そこまでの重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れている、さらにその背後には事故寸前といえるヒヤリとしたアクシデントが300隠されている」という理論です。

 

ハインリッヒの法則は1:29:300の法則とも呼ばれます。法則名はこの法則を導き出したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒに由来しています。

 

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』より引用

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハインリッヒの法則

 

 

ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルは何か、正しいので正答となります。

公認心理師試験 過去問 2019 問28 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問28

 

DSM-5の反社会性パーソナリティ障害の診断基準として、正しいものを1つ選べ。

① 10歳以前に発症した素行症の証拠がある。

② 他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、14 歳以降に起こっている。

③ 反社会的行為が起こるのは、統合失調症双極性障害の経過中ではない。

④ 他人の権利を無視し侵害する広範な様式には、「自殺のそぶり、脅し」が含まれる。

⑤ 他人の権利を無視し侵害する広範な様式には、「衝動性、または将来の計画を立てられないこと」が含まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は⑤です

※採点除外等の取り扱いをした問題

・採点上の取扱い

正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する。

・理由

選択肢が不明確であるため

 

 

①10歳以前に発症した素行症の証拠がある。 ×

 

 

DSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)の反社会性パーソナリティ障害の診断基準は以下の通りです

 

A:他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。

(2)虚偽性。これは繰り返し嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。

(3)衝動性、または将来の計画を立てられないこと。

(4)いらだたしさおよび攻撃性。これは身体的な喧嘩または暴力を繰り返すことによって示される。

(5)自分または他人の安全を考えない無謀さ。

(6)一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。

(7)良心の呵責の欠如。これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことによって示される。

 

B:その人は少なくとも18歳以上である。

 

C:15歳以前に発症した素行症に証拠がある。

 

D:反社会的な行為が起こるのは、統合失調症双極性障害の経過中のみではない。

 

 

となっています。

 

 

診断基準は「C:15歳以前に発症した素行症に証拠がある」とのことで、10歳以前に発症した素行症の証拠があるでは内容が誤りなので誤答とします。

 

 

 

 

 

②他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、14 歳以降に起こっている。 ×

 

 

診断基準はA:他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示されるとなっているので、14歳以降ではないことがわかります。よって誤答となります。

 

 

 

 

 

③反社会的行為が起こるのは、統合失調症双極性障害の経過中ではない。 ×

 

 

診断基準では、「反社会的な行為が起こるのは、統合失調症双極性障害経過中のみではない。」とされています。

 

問題の選択肢では、統合失調症双極性障害経過中ではない。となっています。

 

 

診断基準では統合失調症双極性障害の経過中に起こる反社会的行為についても診断の参考にするということと解釈できるので、誤答となります。

 

※選択肢が不明確であるためとされたのは③の選択肢ではないかと思われます。

 

実際の臨床場面では、統合失調症双極性障害の経過中だと症状を起因とした反社会的行為と判別していなければいけないので、経過中ではない状況なども加味して総合的に判断しなければいけない場合もあります。

 

経過中ではないとは言い切れないにしても、経過中ではないときの状態や行動を把握することは診断上重要になってくるといえます。

 

とはいえ、問題の答えとしては誤りだと思えますが。

 

 

 

 

 

④他人の権利を無視し侵害する広範な様式には、「自殺のそぶり、脅し」が含まれる。 ×

 

これは境界性パーソナリティ障害の診断基準の項目にある基準です。

 

 

DSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)の境界性パーソナリティ障害の診断基準は以下の通りです

 

対人関係、自己像、感情などの不安定および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになります。次のうち5つ(またはそれ以上)によって示されます。

1.現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力。

2.理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式。

3.同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像や自己観。

4.自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、むちゃ食いなど)。

5.自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。

6.顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は 2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな強い気分変調、いらいら、または不安)。

7.慢性的な空虚感。

8.不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかを繰り返す)。

9.一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状。

 

 

境界性パーソナリティ障害は各種試験の問題によく出るので、診断基準を覚えておくと正答しやすくなるのでオススメです。

他人の権利を無視し侵害する広範な様式には、「自殺のそぶり、脅し」が含まれる。は反社会性パーソナリティ障害の診断基準として正しくないので誤答とします。

 

 

 

 

 

⑤他人の権利を無視し侵害する広範な様式には、「衝動性、または将来の計画を立てられないこと」が含まれる。 ×

 

 

基準Aの(3)に衝動性、または将来の計画を立てられないこと。とあります。

 

 

DSM-5の反社会性パーソナリティ障害の診断基準として、正しいので正答となります。