公認心理師試験 過去問 2019 問30 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~
公認心理師試験 2019
問30
緊張病に特徴的な症状として、正しいものを1つ選べ。
① 昏迷
② 途絶
③ 観念奔逸
④ 情動麻痺
⑤ カタプレキシー
解答と解説
正答は①です
①昏迷 〇
緊張病とは、カタトニアもしくはカタトニーと呼ばれる精神運動の低下および昏迷状態に代表される異常行動を特徴とする状態です。
2012年までカタトニアは、緊張型として統合失調症(思考や感情、行動などの脳の機能がうまくまとまらない)の一亜型に分類されていましたが、現在ではカタトニア症候群として非特異的であり、その他の精神障害および神経学的状態においても観察されうるとされています。
DSM-5においては、緊張病は単独の疾患としては分類されていませんが、統合失調症(カタトニア型)、双極性障害、PTSD、うつ病、その他の精神疾患、ナルコレプシー、 薬物乱用、抗精神薬などのオーバードーズなど、カタトニアの原疾患は様々なものがあります。
DSM-5では以下の12の症状のうち3つを満たす場合に緊張病と診断できるとしています。
A.臨床像は以下のうち3つ(またはそれ以上)が優勢である。
(1)昏迷:すなわち、精神運動性の活動がない。周囲と活動的なつながりがない
(2)カタレプシー:すなわち、受動的にとらされた姿勢を重力に抗したまま保持する
(3)蝋屈症:すなわち、検査者に姿勢をとらされることを無視し、抵抗さえする
(4)無言症:すなわち、言語反応がない。またはごくわずかしかない(既知の失語症があれば除外)
(5)拒絶症:すなわち、指示や外的刺激に対して反対する、または反応がない
(6)姿勢保持:すなわち、重力に抗して姿勢を自発的・能動的に維持する
(7)わざとらしさ:すなわち、普通の所作を奇妙、迂遠に演じる
(8)常同症:すなわち、反復的で異常な頻度の、目標指向のない運動
(9)外的な刺激が影響によらない興奮
(10)しかめ面
(11)反響言語:すなわち、他者の言葉を真似する
(12)反響動作:すなわち、他者の動作を真似する
となっています。
(1)昏迷:すなわち、精神運動性の活動がない。周囲と活動的なつながりがないとあります。緊張病に特徴的な症状として、正しいので正答とします。
②途絶 ×
こちらは、統合失調症の症状で、突然の思考停止する症状を指します。
緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。
③観念奔逸 ×
観念奔逸は双極性障害の躁状態で出現しやすい症状で、考えが次から次へと
ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。
緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。
④情動麻痺 ×
情動麻痺という言葉は、臨床においても、文献検索をしても出てこない用語です。
ニュアンスから察するに、感情鈍麻だと推測していきます。
感情鈍麻は、感情を起こすような外からの刺激に対して感情が起こらず,周囲に対して冷淡または不感性になった状態を言い、統合失調症の慢性期に出現しやすい陰性症状です。
緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。
⑤カタプレキシー ×
カタプレキシーもしくはカタプレクシーとは、喜怒哀楽、恐れや羞恥といった過度の情動刺激(感情の高ぶり)により発生する発作症状です。
日中において場所や状況を選ばず起こる強い眠気の発作を主な症状とする睡眠障害であるである、ナルコレプシーⅠ型の有力な症状にカタプレキシーがあります。
緊張病に特徴的な症状ではないので誤答とします。