公認心理師試験 過去問 2019 問29 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~
公認心理師試験 2019
問29
ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルは何か、正しいものを1つ選べ。
① インシデント
② 危険予知モデル
③ スイスチーズモデル
④ スノーボールモデル
解答と解説
正答は⑤です
①インシデント ×
インシデントとは、事故につながりかねない医療行為を未然に防げた例や、実施されたが結果的に患者に傷害や不利益を及ぼさなかった事象、日常診療で起こりそうな医療事故や医療過誤などに事前に気付いて対処できた事例などのことを指します。
インシデントの事例(インシデントレポート)を集計し、対策を立てることで、医療ミスや医療事故の発生の防止、その他のインシデントの発見に役立てることを目的としています。
インシデントの分析はSHELモデルで分析されます。
S : Software (マニュアル、作業標準など)
H : Hardware (設備、装置、機械など)
E : Environment (作業環境)
L : Liveware (人間、作業者) ※中央は当事者で、周囲は関係者)
これらの要因ごとに分析をし、そのインシデント発生の原因を把握して対処します。
Lを当事者と周囲の人々の二つに分けてSHELL(シェル)モデルということもあります。
SHELモデルは、航空事故に関して1972年に Elwin Edwards によって作られたモデルをもとに、1975年にFrank H Hawkinsが作り、これが日本では徐々に医療・介護分野でも応用されていくという背景があります。
ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。
②危険予知モデル ×
危険予知モデルとはあまり、馴染みのない言葉で調べてもあまり出てきませんでした。
なのでKYT(危険予知訓練、危険予知活動、危険予知トレーニング)と解釈していきます。
危険予知トレーニング(KYT)には、次のような意義があります。
1.危険を危険と気付く感受性を鋭くする
2.危険に対する集中力を高める
3.危険に対する情報を共有し合い、それをミーティングで解決していくことで、メンバーの問題解決能力を向上する
4.危険予知活動実践への意欲を強める
5.安全先取り職場風土づくり
危険予知トレーニング(KYT)は、4ラウンド法が最もポピュラーです。その一例は次のとおりです。
〇まず、職場や作業現場等の何気ない日常の風景を写真に撮ったりイラスト図を書いたりして、それらの図表を作業チームの前に提示する。
現状把握:どんな危険が、ひそんでいるかどのような危険が潜んでいるか、問題点を指摘させる。問題点の指摘は自由に行わせ、他のメンバーの指摘内容を批判するようなことは避ける。
本質追究:これが、危険のポイントだ
指摘内容が一通り出揃ったところで、その問題点の原因などについてメンバー間で検討させ、問題点を整理する。
対策樹立:あなたなら、どうする
整理した問題点について、改善策、解決策などをメンバーにあげさせる。
目標設定:私たちは、こうする
あがった解決策などをメンバー間で討議、合意の上、まとめさせる。
合意結果は、メンバー間の共通認識として情報を共有し、事前の危険回避を図る。 このような活動を定期的に行ううちに、日常の作業をただ流すだけでなく、常に、何か危険は潜んでいないかと各自に考える習慣を持たせることも期待できる。
以上が危険予知トレーニング(KYT)は、4ラウンド法の流れとなります。
ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。
③スイスチーズモデル ×
スイスチーズモデル(英: Swiss cheese model)は、マンチェスター大学のジェームズ・リーズンが提唱した、航空安全、工学、医療の場などで用いられるリスクマネジメントおよびリスク分析の基礎概念。 穴の空いているスイスチーズを策に見立て重ねることで貫通するリスクを冗長化している。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
とあります。
通常、事故が想定される場合には、いくつかの防護壁を設けているものです。ここでいう「防護壁」とは、当該危険に対して設けるすべての安全対策を含みます。組織的な安全への取り組みも防護壁といえます。そしてその防護壁を重複することによって事故を防止して、安全を維持しようとするのです。
しかし事故は、これらの防護壁の脆弱な部分や連鎖的なエラーの隙を通過していきます。
いずれにしても事故とは、これら様々な防護壁の穴をすり抜けて、結果的に発生する事象そのものといえます。スイスチーズモデルを提唱したジェームズ・リーズンは、このような事故のモデルをチーズの穴に例えて可視化したものです。
ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。
④スノーボールモデル ×
スノーボールモデルとは、1つのエラーが別のエラーを誘発し、そのエラーがさらに別のエラーにつながって患者のところまで到達し事故を生むこと連鎖のことを指す言葉です。
例として、似た名前の患者を確認せずに本来とは別の処置をし、引き継いだ別のスタッフも、確認しないままに別の処方箋で薬を出してしまう。といった具合です。
雪玉がごろごろと大きくなりながら坂を転がり落ちていくように、エラーがエラーを生んで危険が増幅していくというイメージから、「スノーボール・モデル」と呼ばれています。
※日本看護学校協議会共済会HPより引用
https://www.e-kango.net/safetynet/measures/page12.html
問題分にかなり近いモデルですが、ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルではないので誤答とします。
⑤ハインリッヒの法則 〇
ハインリッヒの法則とは、「1件の重大事故の背景には、そこまでの重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れている、さらにその背後には事故寸前といえるヒヤリとしたアクシデントが300隠されている」という理論です。
ハインリッヒの法則は1:29:300の法則とも呼ばれます。法則名はこの法則を導き出したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒに由来しています。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハインリッヒの法則
ある人物の起こした件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルは何か、正しいので正答となります。