公認心理師試験 過去問 2019 問12 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~
公認心理師試験 2019
問12
神経細胞の生理について、正しいものを1つ選べ。
② 活動電位は樹状突起を通して標的に送られる。
③ 無髄線維では有髄線維より活動電位の伝導速度が速い。
④ シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は「全か無かの法則」に従う。
⑤ 1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは刺激の強さにかかわらず一定である。
解答と解説
正答は⑤です
グルタミン酸は、神経系では、興奮性神経伝達物質の一つであり、記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしています。他方、グルタミン酸は、神経系では、内因性興奮毒としての性質を持ち、細胞死、パーキンソン病、抑うつなどの神経症に関わっています。
グルタミン酸は抑制性神経伝達物質ではなく、興奮性神経伝達物質となりますので誤答となります。
②活動電位は樹状突起を通して標的に送られる。 ×
樹状突起(じゅじょうとっき、dendrite)は、神経細胞の一部。
神経細胞が、外部からの刺激や他の神経細胞の軸索から送り出される情報を受け取るために、細胞体から樹木の枝のように分岐した複数の突起のこと。
樹状突起には、他の神経細胞との間のシナプスが多くあり、シナプス部位が受け取った情報が、細胞体内で活動電位を発生させて電気信号に変換され、軸索を通って軸索末端に達するとグルタミン酸などの神経伝達物質が放出され、これを次の神経細胞が受け取ることによって情報を伝達します。
一方、活動電位とは、なんらかの刺激に応じて細胞膜に生じる一過性の膜電位の変化であり活動電位は、主としてナトリウムイオン、カリウムイオンが、細胞内外の濃度差に従い、イオンチャネルを通じて受動的拡散を起こすことにより発生します。
活動電位は細胞膜より生じ、樹状突起は神経伝達物質を放出することが役割となりますので誤答となります。
③無髄線維では有髄線維より活動電位の伝導速度が速い。 ×
無髄線維と有髄線維
髄鞘(ミエリン)を有する軸索のことを有髄線維と呼び、髄鞘(ミエリン)をもたない軸索を無髄繊維と呼びます。
有髄線維は髄鞘を飛び越えるように伝導(跳躍伝導)するので、無髄繊維より有髄線維の方が活動電位の伝導速度が速くなります。よって誤答となります。
④シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は「全か無かの法則」に従う。 ×
活動電位は、ある一定の閾値を超えると生じ、活動電位が生じると一定の大きさで起こります。この法則のことを「全か無かの法則」と呼びます。
シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は、神経伝達物質によって引き起こされるシナプス後ニューロンの膜電位のことをシナプス後電位といいます。
このシナプス後電位は、大きさが段階的に変わる反応を示します。
よって、シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は「全か無かの法則」に従わないので誤答となります。
⑤1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは刺激の強さにかかわらず一定である。
〇
前述の通り活動電位は、ある一定の閾値を超えると生じ、活動電位が生じると一定の大きさで起こります。この法則のことを「全か無かの法則」と呼びます。
1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは刺激の強さにかかわらず一定となりますので正答となります。