公認心理師試験 過去問 2019 問41 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~
公認心理師試験 2019
問41
右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、通常はみられないものを1つ選べ。
① 失語症
② 左片麻痺
③ 全般性注意障害
④ 左半身感覚障害
⑤ 左半側空間無視
解答と解説
正答は①です
①失語症 〇
脳は右脳と左脳に分かれており、右脳は左側の運動と感覚を、左脳は右側の運動と感覚に対応しています。
つまり
右脳の脳梗塞や脳出血の場合は左側に運動麻痺や感覚障害が出現します。
左脳の脳梗塞や脳出血の場合は右側に運動麻痺や感覚障害が出現します。
また、大脳半球の働きには左右差があります。
〇左脳(優位半球)の機能
①言語理解
②言語表出
③物品使用
④書字
⑤理論的思考
〇右脳(劣位半球)の機能
①空間認知
②運動主体性
③情動理解
④情動表現
⑤直観的理解
となっています。
それぞれの半球が障害されて出現する代表的な高次脳機能障害は
左脳(優位半球):「失語症」、「失行」、「失読失書」、「Gerstmann症候群」
右脳(劣位半球):「半側空間無視(USN)」、「半側身体失認」、「着衣失行」、「半側身体失認」、「相貌失認」
となります。
基本的には左脳が優位半球であることが多く、右利きの人の90%、左利きの人の70%が左脳に優位半球があります。
中大脳動脈の梗塞は、脳梗塞で最も多くの60%~70%が中大脳動脈の領域で発生しています。
中大脳動脈領域が障害されると、
・反対側の運動障害(片麻痺)
・反対側の感覚障害
・失語
・失読
・失書
・失認
・失行
・同名半盲
などが出現します。
優位半球(左側の脳)に言語中枢があるため、左中大脳動脈領域失語症や失読、失書などの症状が出現します。
右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、失語症は通常はみられないものとして正しいといえるので、正答とします。
②左片麻痺 ×
中大脳動脈領域では、運動障害(片麻痺)を起こしやすい領域となっています。
右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、左片麻痺は通常は見られやすいので、誤答となります。
③全般性注意障害 ×
右中大脳動脈領域を障害されると、空間認知の障害や失認などの障害の影響で全般性注意障害を引き起こします。
右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、全般性注意障害は通常は見られやすいので、誤答となります。
④左半身感覚障害 ×
右中大脳動脈領域を障害されると、反対側の運動障害や感覚障害を引き起こします。
右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、左半身感覚障害は通常は見られやすいので、誤答となります。
⑤左半側空間無視 ×
右中大脳動脈領域を障害されると、半側空間無視(USN)を引き起こしやすいです。