公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

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公認心理師試験 過去問 2019 問7 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問7 

 

量的な説明変数によって1つの質的な基準変数を予測するための解析方法として、最も適切なものを1つ選べ。

① 因子分析

② 判別分析

③ 分散分析

④ 重回帰分析

クラスター分析

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②です

 

 

①因子分析 ×

 

因子分析は、主成分分析と並べて理解すると分かりやすいです。

 

主成分分析:複数の変数を1つにまとめる手法

因子分析:複数の似通った変数どうしをまとめて群を作り、異なる変数の群はなるべく分ける手法(変数の小グループを作っていく手法だと思えばいい)

 

となります。

 

因子分析は、複数の変数がすべて量的変数という条件で、変数間に独立変数、従属変数の関係(因果関係)が設定されていない場合に用いられます。

 

つまり、変数間の相関関係に基づいて、背後にある共通因子を見つけ出そうとするものであり、多くの場合新しい質問紙や心理尺度を開発・作成する際に用いられます。

 

 

1つの質的な基準変数を予測するための解析方法では無いので誤答となります。

 

 

 

 

 

②判別分析 〇

判別分析は、事前に与えられているデータが異なるグループに分かれる場合、新しいデータが得られた際に、どちらのグループに入るのかを判別するための基準を得るための正規分布を前提とした分類の手法となります。

 

線形判別分析は、以下の前提条件が成立する必要があります。

・各グループは多変量正規分布している

・全てのグループが同じ共分散行列を持つ(等分散性

・その上で、マハラノビス汎距離が等距離の所に直線を引く

 

となっています。

 

 

量的な説明変数によって1つの質的な基準変数を予測するための解析方法となりますので、正答となります。

 

 

 

 

 

③分散分析 × 

分散分析は、平均の差の検定ので、3標本以上または対応のある(3変数以上の)差の検定を行う手法です。

 

2標本だと別な名前の分析方法になります。

 

 

分散分析が適用されるのは、従属変数が量的変数、独立変数が質的変数の場合となります。

 

 

量的な説明変数によって1つの質的な基準変数を予測するための解析方法とは、逆になりますので誤答となります。

 

 

 

 

 

④重回帰分析 ×

 

重回帰分析は独立変数が2つ以上存在する場合の回帰分析です。

 

ちなみに

 

相関:yとxの2変数がどれくらい直線づけられるか。

 

回帰:xからyを予測する式を作る。または、xがyに及ぼす一方的な影響度を調べる。

 

相関は2変数の関係を知るという意味だが、回帰は原因xが結果yに及ぼす影響を知るような、因果関係を過程する点で異なる。

 

重回帰分析も1つの質的な基準変数を予測するための解析方法では無いので誤答となります。

 

 

 

 

 

クラスター分析 ×

 

クラスター分析とは、集団の中から類似したものを集めて分析する手法をクラスター分析と呼びます。

 

クラスター分析は、階層別クラスター分析非階層クラスター分析といった2つの方法に分かれます。

 

階層別クラスター分析は、似通った個体あるいは変数のグループ化を行い、結果はデンドログロム(樹状図)で表現していきます。

 

ほぼ似たものをくくって一つのクラスターとして捉えていくもので、最初に小さなクラスターまとめて、いくつかにして、それら小クラスター同士で、似たものので中クラスターを作り、さらに中クラスターの集合で大クラスターを作り上げます。

 

非階層クラスター分析は、階層クラスター分析と異なり、階層的な構造を持たず、あらかじめいくつのクラスターに分けるかを決め、決めた数の塊(排他的部分集合)にサンプルを分割する方法となります。階層クラスター分析と違い、サンプル数が大きいビッグデータを分析するときに適しています。

 

クラスター分析も1つの質的な基準変数を予測するための解析方法では無いので誤答となります。