公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

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公認心理師試験 過去問 2019 問48 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問48

 

心理面接における沈黙について、誤っているものを1つ選べ。

① 沈黙の受け取り方は文化によって多様である。

② 沈黙はクライエント自身の内的探索を阻害する。

③ 沈黙はクライエントの不快さを増大させることがある。

④ 沈黙によってクライエントに共感を伝えることもできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②です

 

 

①沈黙の受け取り方は文化によって多様である。 ×

 

沈黙の受け取り方は文化によって様々です。

 

日本は思いやりの文化なので、沈黙を美徳と捉えることもします。

 

もちろん全ての沈黙に美徳を感じるわけではなく、文脈や状況によりますので、沈黙により不快を感じることもあるでしょう。

 

沈黙の長さが国によって大きく異なることが分かっており、

 

日本や韓国などは沈黙を長く使う国で、アメリカやオーストラリア、スペイン、フランスなどは沈黙が短い国と知られています。

 

文化的に沈黙が短い国と長い国で沈黙に対して感じとる意味合いが、沈黙の長さや沈黙が起きる際の状況や会話の内容により変化すると考えられます。

 

 

「沈黙の受け取り方は文化によって多様である」という選択肢は心理面接における沈黙について、正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②沈黙はクライエント自身の内的探索を阻害する。 〇

 

カウンセリングの場において沈黙を利用することが重要とされています。ロジャーズはカウンセリングでの沈黙の場面はとても大切だと説いています。

 

沈黙の後に、クライエントから発せられる内容は洞察が深まったものが多く、沈黙や間があるからこそ発せられる言葉があったりします。

 

沈黙には「動きのある沈黙」、「動きのない沈黙」に分かれます。

 

「動きのある沈黙」は

1.クライエントがどういうふうに表現しようか言葉を探している沈黙。

2.自己洞察を行っているときに生まれる沈黙。

3.カウンセラーの言葉をじっくり味わっている沈黙。

4.クライエントがある事柄・感情を告白してホッと一息ついている沈黙。

5.気持ちが静まるまでしばらく話したくないという沈黙。

 

などがあります。

 

カウンセラーが意図的に沈黙を使い、クライエントのペースや気持ち、情報の整理、沈黙による与える印象の違いなどを操作するなどの意味をもつものとなります。

 

「動きのない沈黙」は

1.クライエント自身が極度に抑圧され緊張している沈黙。

2.クライエントがカウンセリングに拒否的な態度による沈黙。

3.特に話すことも浮かばず、クライエントが少し居心地の悪さを感じている沈黙。

 

などがあります。

 

このような沈黙には、相手の気持ちや思考の洞察を図りつつ、発言したいと思うように関わりを持っていきます。

 

沈黙はクライエントの言葉と同様、意味を持っており、沈黙の意味から内面を探索することでカンセリングが進んでいきます。

 

 

「沈黙はクライエント自身の内的探索を阻害する」という選択肢は、心理面接における沈黙について、誤っているといえるので正答となります。

 

 

 

 

 

③沈黙はクライエントの不快さを増大させることがある。 ×

 

①で述べたように、沈黙は文脈や状況によりますので、沈黙により不快を感じることもあるでしょう。

 

例えば、クライエントがすぐに反応が欲しい状況で沈黙をすると「ちゃんと話を聞いてくれているのか?」と疑問に感じてしまうなど、不快さを増大させる要因になりえます。

 

 

「沈黙はクライエントの不快さを増大させることがある」という選択肢は心理面接における沈黙について、正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

④沈黙によってクライエントに共感を伝えることもできる。 ×

 

②に記述した「動きのある沈黙」の“4.クライエントがある事柄・感情を告白してホッと一息ついている沈黙”や、“5.気持ちが静まるまでしばらく話したくないという沈黙”は、クライエントの今の心情を理解していることを示すことできます。

 

意味のある必要な沈黙を共有することで、共感に繋げることもできます。

 

 

「沈黙によってクライエントに共感を伝えることもできる」という選択肢は心理面接における沈黙について、正しいといえるので誤答となります。