公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

公認心理師と作業療法士の2足のわらじで働いています。私が体験した治療が上手く行った事例をプライバシーが守れる範囲で簡単に紹介していくことや、治療に関するトピックス、治療者が使いやすいツールや検査法、評価法など紹介していきたいと考えています。

公認心理師試験 過去問 2019 問23 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019 問23

 

問23 日本語を母語としない成人の知能検査として、最も適切なものを1つ選べ。ただし、検査内容の説明程度は日本語で理解できるものとする。

① PARS-TR

② WISC-Ⅳ

③ ベンダー・ゲシュタルト検査

ウィスコンシンカード分類検査

⑤ コース立方体組み合わせテスト 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は⑤です

 

①PARS-TR ×

 

PARS-TRとは、自閉スペクトラム症ASD)の特性がどれくらい見られるのかを知るための検査です。

 

PARS-TRは広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度と呼ばれています。

 

自閉スペクトラム症ASD)の発達・行動症状について母親(もしくは他の主養育者)に面接し、その存否と程度を評定する57項目からなる検査です。

 

 

そもそも知能検査ではないので、問題文と異なるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②WISC-Ⅳ ×

 

WISC-Ⅳは知能検査ではありますが、5歳~16歳11ヶ月が対象年齢となっています。

 

ウェクスラー式知能検査で成人向けなのはWAISとなります(16歳~89歳)

 

WAISは2020年4月よりWAIS‐Ⅲ→WAIS‐Ⅳに改定されました。

 

言語性IQ、動作性IQに分けることなくなっており検査内容も結構変わっています(WISC-Ⅳも同様)。

 

 

少し逸れましたが、WISC-Ⅳは言語を中心とした検査項目は半分くらいあり、かつ成人ではなく子供向けの検査になっているので誤答となります。

 

 

 

 

 

③ベンダー・ゲシュタルト検査 ×

 

ベンダー・ゲシュタルト検査とは、9枚の簡単な幾何学図形を模写することによって、心理的障害、器質的な脳障害、パーソナリティ傾向、知能的側面などの多方面にわたる情報を査定することができ絵を模写する肯定のみなので、日本語を母語としなくても検査可能ではありますが、知能検査ではないので誤答とします。

 

 

 

 

 

ウィスコンシンカード分類検査 ×

 

ウィスコンシンカード分類検査(Wisconsin Card Sorting Test WCST)は、前頭葉機能の注意や概念の転換などの機能を評価する方法として考案された検査です。

 

ウィスコンシンカード分類検査は、後天性脳損傷神経変性疾患統合失調症のような精神疾患の患者など広く用いられています。

 

この課題は前頭葉の機能障害に対して感受性をもつとされていることから、実行機能の計測法として有効であるとされており、戦略的な計画、系統的探索、環境からのフィードバックを利用した認知セットのシフト、目標の達成に向けた行動の方向付けや衝動的な応答の抑制などの前頭葉機能に対応しています。

 

年齢の幅は広く6 歳半から 89 歳までの幅広い年齢の患者に用いることができる検査です。

 

 

成人の知能検査ではないので誤答となります。

 

 

 

 

 

⑤コース立方体組み合わせテスト    ○

 

コース立方体組み合わせテストは1 辺 3cm の木製立方体を組み合わせて、難易度順に並べられた 17 種類の模様を作る課題からなります。 出来上がるまでの所要時間と模様図の達成度を測定して、知能指数を算定します。

 

コース立方体組み合わせテストの適用は「6才~聾・難聴・老人」となっています。

 

コース立方体組み合わせテストは脳血管障害(CVA)での高次脳機能障害に対してよく用いられる検査ですが、言語障害用の知能検査として適応されています。

 

 

コース立方体組み合わせテストは日本語を母語としなくても検査可能な成人の知能検査となりますので正答となります。