公認心理師試験の解答と解説 公認心理師 臨床心理士 精神科作業療法士など 精神科で働く人に役立つ情報を発信します

公認心理師と作業療法士の2足のわらじで働いています。私が体験した治療が上手く行った事例をプライバシーが守れる範囲で簡単に紹介していくことや、治療に関するトピックス、治療者が使いやすいツールや検査法、評価法など紹介していきたいと考えています。

公認心理師試験 過去問 2019 問46 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問46

 

「就労継続支援B型」について、正しいものを1つ選べ。

① 50 歳未満であれば対象となる。

② 一般就労のために必要な訓練が行われる。

③ 障害基礎年金を受給している者は対象とならない。

④ 障害者のうち、雇用契約に基づく就労が可能な者が対象となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は②です

 

 

①50 歳未満であれば対象となる。 ×

 

就労継続支援B型事業 の対象者は、規則第6条の10第2項によると、

 

① 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者

② 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者

③ ①及び②に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者

 

と記されています。

 

②に50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者と記されていますが、50歳未満であれば対象となるという旨の記載はありません。

 

むしろ、高齢で支援がないと就労が難しい人も該当するという意味で、50歳に達している者が対象者として該当していると考えられます。

 

 

50 歳未満であれば対象となるは正しいとはいえないので誤答となります。

 

 

 

 

 

②一般就労のために必要な訓練が行われる。 〇

 

就労継続支援B型の事業概要には、「通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う。」と記されています。

 

②一般就労のために必要な訓練が行われるのは正しいので正答となります。

 

 

 

 

 

③障害基礎年金を受給している者は対象とならない。 ×

 

就労継続支援B型事業の対象者に「50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者」と記載されているように、障害基礎年金の受給を余儀なくされている方を対象に就労のサポートを行うことを目的としています。

 

障害基礎年金を受給しながら、工賃をもらうことも可能で減額もありません。

 

 

障害基礎年金を受給している者は対象とならないというのは正しいといえないので誤答となります。

 

 

 

 

 

④障害者のうち、雇用契約に基づく就労が可能な者が対象となる。 ×

 

就労継続支援B型の事業概要には、「通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う。」と記されています。

 

 

障害者のうち、雇用契約に基づく就労が可能な者が対象となるというのは正しいといえないので誤答となります。

 

公認心理師試験 過去問 2019 問45 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問45

 

SOAP形式の診療録の記載内容について、正しいものを1つ選べ。

① S に神経学的所見を記載する。

② O に患者が話したことを記載する。

③ A に検査データを記載する。

④ P に今後のマネージメントの計画を記載する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は④です

 

 

①Sに神経学的所見を記載する。 ×

 

SOAP方式とは、対象者の問題点を見つけ、医療者としてどうすべきかを考えるためのカルテ記述法です。

 

医師、看護師、PT、OT、STなどのリハビリ職など様々な職種で導入されている方式となります。

 

 

SOAP方式による記録のS・O・A・P、それぞれの項目の意味は

 

S(subjective):主観的情報

→対象者が話した内容、患者の主観をそのまま表現して記載するなど、主観的に得られた情報

 

O(objective): 客観的情報

→診察や検査、各種機能評価などから得られたデータを記載するなど、客観的に得られた情報

 

A(assessment): 評価

→医師の診断や、O とSの内容を元に分析や解釈を行った総合的な評価

 

P(plan): 計画(治療)

→ Aに基づいて決定した治療の方針・内容、リハビリ内容、生活指導など

 

 

SOAP形式の診療録の記載内容について、S に神経学的所見を記載するのは誤りで、Sは

「対象者が話した内容、患者の主観をそのまま表現して記載するなど、主観的に得られた情報」を記載するのが正しいので誤答となります。

 

 

 

 

 

②Oに患者が話したことを記載する。 ×

 

 

患者が話したことを記載するはSで、Oが診察や検査、各種機能評価などから得られたデータを記載するなど、客観的に得られた情報を記載するのが正しいので誤答となります。

 

 

 

 

 

③Aに検査データを記載する。 ×

 

検査データを記載するのはOで、Aは医師の診断や、OとSの内容を元に分析や解釈を行った総合的な評価を記載するのが正しいので誤答となります。

 

 

 

 

 

④P に今後のマネージメントの計画を記載する。 〇

 

 

PはAに基づいて決定した治療の方針・内容、リハビリ内容、生活指導などを行うので、今後のマネージントの計画を記載するといえますので、正答となります。

公認心理師試験 過去問 2019 問44 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問44

 

スクールカウンセラーに求められる役割として、最も適切なものを1つ選べ。

① チーム学校の統括

② 児童生徒への学習指導

③ 教職員へのスーパービジョン

心理的問題などへの予防的対応

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は④です

 

 

①チーム学校の統括 ×

 

文部科学省 3.「チームとしての学校」を実現していくための具体的な改善方策(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1365416.htm)によると

 

校長は、学校の長として、リーダーシップを発揮するために、まず、子供や地域の実態を踏まえ、学校の教育ビジョンを示し、教職員と意識や取組の方向性の共有を図ることが重要である。

 

それに当たって、「チームとしての学校」における校長には、多様な専門性を持った職員を有機的に結びつけ、共通の目標に向かって動かす能力や、学校内に協働の文化を作り出すことができる能力などの資質が求められる。

 

また、学校の教育活動の質を高めるためには、校長の教育的リーダーシップが重要であり、教育指導等の点で教職員の力を伸ばしていくことができるような資質も求められている。

 

主幹教諭には、学校を一つのチームとして機能させるため、全体をマネジメントする管理職と教職員、専門能力スタッフとの間に立って、「チームとしての学校」のビジョンを始めとした意識の共有を図る、いわばミドルリーダーとしての役割が期待されている。

 

と記されています。

 

 

チーム学校の統括は、スクールカウンセラーに求められる役割ではなく、校長や主幹教諭に求められる役割といえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②児童生徒への学習指導 ×

 

文部科学省 3.「チームとしての学校」を実現していくための具体的な改善方策(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1365416.htm)によると

 

(a)教員が行うことが期待されている本来的な業務

授業、授業準備、教育課程の編成、補習指導、生徒指導、学校行事、成績処理、学年・学級経営、進路指導、学習指導、学習評価

文部科学省の調査によれば、スクールカウンセラーの配置の主な成果として、「学校の教育相談体制の強化」や「不登校の改善」、「問題行動の未然防止、早期発見・早期対応」などがあげられ、調査対象の96%の学校が、「必要性を感じている」としており、配置の拡充や資質の確保が望まれている。

 

と記されている。

 

 

児童生徒への学習指導はスクールカウンセラーに求められる役割ではなく、教員に求められる役割といえるので誤答となります。

 

 

 

 

③教職員へのスーパービジョン ×

 

文部科学省の調査によれば、スクールカウンセラーの配置の主な成果として、「学校の教育相談体制の強化」や「不登校の改善」、「問題行動の未然防止、早期発見・早期対応」などがあげられ、調査対象の96%の学校が、「必要性を感じている」としており、配置の拡充や資質の確保が望まれていると記されています。

 

教職員へのスーパービジョンは、ケースにより必要に応じて全くないとはいいませんが、頻度は少なくそのために設置することはないと思われます。

 

 

今回は最も適切なものを選べということなので、スクールカウンセラーに求められる役割として教職員へのスーパービジョンは、最も適切とはいえないと考えるので誤答となります。

 

 

 

 

 

心理的問題などへの予防的対応 〇

 

文部科学省の調査によれば、スクールカウンセラーの配置の主な成果として、「学校の教育相談体制の強化」や「不登校の改善」、「問題行動の未然防止、早期発見・早期対応」などがあげられ、調査対象の96%の学校が、「必要性を感じている」としており、配置の拡充や資質の確保が望まれていると記されています。

 

と記されています。

 

 

問題行動の未然防止は、心理的問題などへの予防的対応といえます。スクールカウンセラーに求められる役割心理的問題などへの予防的対応は、今回の選択肢の中で最も適切といえるので正答となります。

うつ病の症状や特徴の変化と予防~うつ病になりにくい子育て~(私的考察)

 

うつ病の症状や特徴の変化をふまえながら、うつ病をなりにくい子どもを育てるためにはどうすれば良いのかを考察していきます。

 

 

 

 

まずは、うつ病になりやすい性格や思考について説明します。

 

 

 

 

うつ病になりやすい性格には、有名なところだとテレンバッハが提唱した「メランコリー親和型性格」があります。

 

 

 

 

メランコリー親和型性格は、秩序やルールに忠実であり、非常に献身的であり、頼まれると嫌と言えない、真面目、仕事熱心である、責任感が強いなどの特徴があります。

 

 

 

 

最近は、このタイプのうつ病は減っていると言われています。

 

 

 

 

一昔前は、この性格に加え日本の仕事に対する考え方や価値観が合わさり多かったと考えます。

 

 

 

 

そして最近は、教育や価値観、いわいる「ゆとり世代」の出現や、「パワハラ」に対する強い批判的な風潮により変化したと考えます。

 

 

 

 

最近のうつ病のなりやすい性格の特徴は(ここから私的考察)

 

 

 

 

①失敗に対して強く落ち込みやすい

 

②被害的な思考になりやすい

 

③できないことがあると過剰に自信をなくす

 

④できなさそうなことに挑戦しない

 

 

 

 

以上のような特徴が挙げられます。

 

 

 

 

もう一度や二度挑戦すれば達成できること、やれば出来るのに挑戦すらしないこと

 

 

 

 

社会生活や仕事は、何かを達成しても常にさらに難しい課題をかせられることがほとんどです。

 

 

 

 

そのため、課題に対して成功するかしないか分からない状態で仕事をしなければならないなど、失敗のリスクは常に仕事には存在します。

 

 

 

 

そのため、「失敗」や「挑戦」に慣れていないと社会生活で感じるストレスが大きくなり、うつ病に発展しやすくなります。

 

 

 

 

ここから本題であるうつ病になりにくい子育てについて説明します。

 

 

 

 

ここまで説明した通り「失敗」と「挑戦」を沢山経験することが大事になります。

 

 

 

 

子育てをしていると、失敗させたくない気持ち、危ないことをさせたくないと親は当然感じると思います。

 

 

 

 

しかし、あまりに「挑戦」と「失敗」に不慣れな状態で社会に出るのは危険だと考えます。

 

 

 

 

子育てで意識して欲しいのは、

 

①「失敗しても良いということ」

 

②「何度でもやり直すこと」

 

③「もう少し頑張れば出来そうなことに取り組んでもらうこと」

 

 

 

 

上記の3つになります。特にもう少し頑張れば出来そうなことは結構重要で

 

 

 

 

やればできるのに、やれなさそうと感じてやらない子は最近増えてきています。

 

 

 

 

子どもは怪我の恐れのある危ない遊びをしばしばします。

 

 

 

 

親はそれを見ると止めます。

 

 

 

 

しかし、多少痛い思いをしても挑戦してみることが大事です。

 

 

 

 

そもそも子どもはくじけずに色々なことに挑戦する活力が沢山あります。

 

 

 

 

そこに蓋をして様々な体験や経験を制限することは、将来うつ病につながる可能性があるかもしれないと考えます。

公認心理師試験 過去問 2019 問43 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問43

 

教育基本法第2条に規定される教育の目標として、誤っているものを1つ選べ。

① 勤労を重んずる態度を養う。

② 自主及び自律の精神を養う。

③ 豊かな情操と道徳心を養う。

④ 個性に応じて進路を選択する能力を養う。

⑤ 他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は④です

 

 

①勤労を重んずる態度を養う。 ×

 

法令リードのホームページ(https://hourei.net/law/418AC0000000120)を参照して説明します。

 

教育基本法第2条は以下の通りです

 

(教育の目標)

第2条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

 

一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

 

二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

 

三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

 

四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

 

五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 

と記されています。

 

 

「二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。」と書かれており、教育基本法第2条に規定される教育の目標として、勤労を重んずる態度を養うは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

②自主及び自律の精神を養う。 ×

 

「二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。」と書かれており、教育基本法第2条に規定される教育の目標として、勤労を重んずる態度を養うは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

③豊かな情操と道徳心を養う。 ×

 

「一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。」と書かれており、教育基本法第2条に規定される教育の目標として、勤労を重んずる態度を養うは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

④個性に応じて進路を選択する能力を養う。 〇

 

法令リードのホームページ(https://hourei.net/law/418AC0000000120)の学校教育法を参照して説明します。

 

学校教育法

第21条 義務教育として行われる普通教育は、教育基本法(平成18年法律第120号)第5条第2項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

 

 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。

 

 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 

 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。

 

 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。

 

 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

 

 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

 

 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。

 

 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。

 

 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

 

と記されています。

 

 

「個性に応じて進路を選択する能力を養う。」は教育基本法第2条に規定される教育の目標ではなく、学校教育法第21条の目標となっており、教育基本法第2条に規定される教育の目標として、誤っているので正答となります。

 

 

 

 

 

⑤他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う。 ×

 

「五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」と書かれており、教育基本法第2条に規定される教育の目標として、勤労を重んずる態度を養うは正しいといえるので誤答となります。

公認心理師試験 過去問 2019 問42 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問42

 

児童相談所の業務内容として、誤っているものを1つ選べ。

① 親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させる。

② 必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護をする。

③ 親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させる。

④ 子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行う。

⑤ 市区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は①です

 

 

①親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させる。 〇

 

児童相談所の業務と役割は以下の通りとなります。

児童相談所の役割

業務内容

市町村への情報提供

·      市町村に対して情報を提供する

·      市町村間の情報共有

相談と専門的援助

·      市民からの相談のうち、専門的な知識や技術が必要なものに関して、調査や診断を通して援助方針を定めて援助を実施

·      必要に応じて関係機関と連携を図る

一時保護

·      必要性があると判断した場合、子どもを家庭から話して一時的に保護する

指導・措置

·      児童福祉司や児童委員などに子どもを指導させる

·      児童福祉司や児童委員などに保護者を指導させる

·      必要に応じて、子どもを児童福祉施設などに入所させる

 

 

 

未来地図(https://www.miraichizu.jp/knowledge/3177/)より抜粋

 

未来地図は児童相談所に関する情報がわかりやすくまとめられていますので、一度参照すると良いかもしれません。

 

家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という)を成立させることができる」(民法817条の)とあり、

 

特別養子縁組を成立させることができるのは家庭裁判所になります。

 

養子縁組許可審判の申立てが受理されると、家庭裁判所が、養子縁組をすることが養子となる人(未成年者や被後見人)の利益(福祉)にかなうか否かについて審理を行います。

 

裁判官の命令を受けた家庭裁判所調査官が、申立人、未成年者(被後見人)、養子縁組の代諾者(未成年者が15歳未満の場合のみ)を裁判所に呼び出して事情を聴取したり、裁判官が直に審問したりします。

 

また、養子縁組が成立することで影響を受ける親族などに対して照会書が送付され、意向確認がなされます。

 

家庭裁判所は、調査や審問の結果に基づいて養子縁組を許可するか否かの判断を示します。

 

 

親権者の同意を得て特別養子縁組を成立させることは、児童相談所の業務内容として、誤っているので正答となります。

 

 

 

 

 

②必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護をする。 ×

 

一時保護に関しては児童福祉法第33条第1項には

児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる」

 

と記されています。

 

児童福祉法はこちらを参照しています。(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82060000&dataType=0&pageNo=3

 

 

児童相談所の業務内容として、必要に応じて家庭から子どもを離して一時保護をすることは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

③親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させる。 ×

 

児童福祉法第11条第2項のト(5)によると

 

「第二十七条第一項第三号の規定により里親に委託しようとする児童及びその保護者並びに里親の意見を聴いて、当該児童の養育の内容その他の厚生労働省令で定める事項について当該児童の養育に関する計画を作成すること」

 

とあり、親権者の同意が必要になる旨が記されています。

 

かかる同意についても任意であるため拒否することが可能ですが、これに対し、児童相談所は、家庭裁判所に対し、親権者に代わって入所措置を承認するよう審判を申し立ててくるのが通常となっています。

 

そして、家庭裁判所が申立てを認める審判を行った場合は、通常2年間、同意なしで児童養護施設等へ入所するという流れになります。

 

 

児童相談所の業務内容として、親権者の同意を得て児童福祉施設に子どもを入所させることは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

④子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行う。 ×

 

こちらでは、厚生労働省ホームページの児童相談所の概要を参照しています(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv19/01-01.html)。

 

厚生労働省ホームページの児童相談所の概要の第1章   児童相談所の概要、第1節   児童相談所の性格と任務、1. 児童相談所の設置目的と相談援助活動の理念の(1)には、

 

(1)  児童相談所は、市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニ-ズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護すること(以下「相談援助活動」という。)を主たる目的として都道府県、指定都市(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市をいう。以下同じ。)及び児童相談所設置市(児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第59条の4第1項の児童相談所設置市をいう。以下同じ。)(以下「都道府県等」という。)に設置される行政機関である。

 

と記されています。

 

また、(3)には

 

(3)  児童相談所は、この目的を達成するために、基本的に次の3つの条件を満たしている必要がある。

   [1]  児童福祉に関する高い専門性を有していること

   [2]  地域住民に浸透した機関であること

   [3]  児童福祉に関する機関、施設等との連携が十分に図られていること

 

と記されており、児童相談所は子どもに関する専門性を要する機関ということがわかります。

 

2. 児童相談所の任務、機能には、

(1)  従来は、あらゆる児童家庭相談について児童相談所が対応することとされてきたが、近年、児童虐待相談等の急増により、緊急かつより高度な専門的対応が求められる一方で、育児不安等を背景に、身近な子育て相談ニーズも増大しており、こうした幅広い相談全てを児童相談所のみが受け止めることは必ずしも効率的ではなく、市町村をはじめ多様な機関によるきめ細やかな対応が求められている。

 

こうした状況を踏まえ、平成16児童福祉法改正法により、平成17年4月から、

   [1]児童家庭相談に応じることを市町村の業務として法律上明確にし、住民に身近な市町村において、虐待の未然防止・早期発見を中心に積極的な取組みを求めつつ、

 

   [2]都道府県等(児童相談所)の役割を、専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や市町村の後方支援に重点化し、

 

   [3]さらに保護者に対する指導に家庭裁判所が関与する仕組みを導入するなど司法関与の強化を行う等の措置を講じ、児童家庭相談に関わる主体を増加させるとともに、その役割を明確化することにより、全体として地域における児童家庭相談体制の充実を図ることとされた。

 

と記されています。

 

平成16年児童福祉法改正法から、あらゆる相談にのる体制から子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行うように変わったと捉えることができます。

 

 

児童相談所の業務内容として、子どもに関する専門性を要する相談を受理し、援助を行うことは正しいといえるので誤答となります。

 

 

 

 

 

⑤市区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行う。 ×

 

④に「都道府県等(児童相談所)の役割を、専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や市町村の後方支援に重点化し」と記されている通り

 

市区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行う役割をもっていることがわかります。

 

 

児童相談所の業務内容として、区町村における児童家庭相談への対応について必要な援助を行うことは正しいといえるので誤答となります。

公認心理師試験 過去問 2019 問41 試験問題 解答と解説 ~国家試験合格に向けての勉強と試験対策~

公認心理師試験 2019

問41

 

右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、通常はみられないものを1つ選べ。

失語症

② 左片麻痺

③ 全般性注意障害

④ 左半身感覚障害

⑤ 左半側空間無視

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答と解説

 

正答は①です

 

 

失語症 〇

 

脳は右脳と左脳に分かれており、右脳は左側の運動と感覚を、左脳は右側の運動と感覚に対応しています。

 

つまり

 

右脳の脳梗塞脳出血の場合は左側に運動麻痺や感覚障害が出現します。

 

左脳の脳梗塞脳出血の場合は右側に運動麻痺や感覚障害が出現します。

 

また、大脳半球の働きには左右差があります。

 

〇左脳(優位半球)の機能

①言語理解

②言語表出

③物品使用

④書字

⑤理論的思考

 

〇右脳(劣位半球)の機能

①空間認知

②運動主体性

③情動理解

④情動表現

⑤直観的理解

 

となっています。

 

それぞれの半球が障害されて出現する代表的な高次脳機能障害

左脳(優位半球):「失語症」、「失行」、「失読失書」、「Gerstmann症候群」

 

右脳(劣位半球):「半側空間無視(USN)」、「半側身体失認」、「着衣失行」、「半側身体失認」、「相貌失認」

 

となります。

 

基本的には左脳が優位半球であることが多く、右利きの人の90%、左利きの人の70%が左脳に優位半球があります。

 

中大脳動脈の梗塞は、脳梗塞で最も多くの60%~70%が中大脳動脈の領域で発生しています。

 

中大脳動脈領域が障害されると、

・反対側の運動障害(片麻痺

・反対側の感覚障害

・失語

・失読

・失書

・失認

・失行

同名半盲

などが出現します。

 

優位半球(左側の脳)に言語中枢があるため、左中大脳動脈領域失語症や失読、失書などの症状が出現します。

 

 

右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、失語症は通常はみられないものとして正しいといえるので、正答とします。

 

 

 

 

 

②左片麻痺 ×

 

中大脳動脈領域では、運動障害(片麻痺)を起こしやすい領域となっています。

 

 

右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、左片麻痺は通常は見られやすいので、誤答となります。

 

 

 

 

 

③全般性注意障害 ×

 

右中大脳動脈領域を障害されると、空間認知の障害や失認などの障害の影響で全般性注意障害を引き起こします。

 

 

右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、全般性注意障害は通常は見られやすいので、誤答となります。

 

 

 

 

 

④左半身感覚障害 ×

 

右中大脳動脈領域を障害されると、反対側の運動障害や感覚障害を引き起こします。

 

 

右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、左半身感覚障害は通常は見られやすいので、誤答となります。

 

 

 

 

 

⑤左半側空間無視 ×

 

右中大脳動脈領域を障害されると、半側空間無視(USN)を引き起こしやすいです。

 

 

右利きの者が右中大脳動脈領域の脳梗塞を起こした場合に、左半側空間無視は通常は見られやすいので、誤答となります。